2013年2月アーカイブ

أومامي

今日、NHKの「クローズアップ現代」で「うま味」を内容とする番組がありましたが、

「うま味」をアラビア語でなんというのか調べようとしたら、アラビア語版ウィキペディアにその説明があることを知り、驚きました。

「味の素」のサイトでもアラビア語での説明があります。

أومامي」が中東で一般的に通じる日が来るのは、そう遠くないのかもしれません。

アラビア語WIKIでも説明されているのですから、「うま味」は今世界的なブームだということなのでしょう。

أهلي

さて、「أهلي」についてです。

アラビア語を母国語とする人に確認したところ、以下のような説明がありました。

まず名詞の「أهل」ですが、
本辞書データ中級辞書の最新版では、
「1.家族、一族、2.住民、民、人々、3.妻、4.一員、会員、5.信奉者、弟子、門下、6.所有者」と登録しています。
1.~3.はあり得る訳語(但し3.は湾岸等地域限定)、4.~6.は現在ではあり得ない訳語とのことですので、そのように訂正します。

次いで、形容詞の「أهلي」ですが、
現時点で、「1.国内の、国立の、国の、2.市民の、3.家族の、家庭の、4.生まれつきの、土着の、5.(動物が)おとなしい、飼い慣らされた」と登録していますが、現在使われるのは2.と3.のみとのこと。これを踏まえ、概ね以下の通りで訂正する予定です。
1.家族の、一族の、親族の
2.[まれ]地方部族の →例として「محكمة أهلية」(地方部族裁判所)
3.市民の → 例として「حرب أهلية」(内戦)
4.私立の、私的な →例として「جامعة أهلية」(私立大学)、「مدرسة أهلية」(私立学校)
  なお、現在では、私大であれば、「جامعة خاصة」と表現する方が一般的なので、これはやや古い表現となります。
5.アハリーの →例として「النادي الأهلي(アハリー・クラブ)、「الفريق الأهلي」(アハリー・チーム)、「البنك الأهلي」(アハリー銀行)等。

الفريق الأهلي」(アハリー・チーム)は、サッカー等の一つのチーム名であって、国の代表チームではありません。

البنك الأهلي」が「National Bank (国営銀行)」と訳されることが多いのは、エジプト等の国において(個人や家族経営による私的に)設立された銀行が「أهلي」という名で登録され、それが国営化された経緯があるからだそうです。

البنك الأهلي الأردني」という銀行があり、その英訳は「Jordan Ahli Bank」ですが、その名称について、同銀行はこのように説明しています。

また、Ahli International Bank という名称の銀行もあります。
「Ahli」 に「National」という意味があれば、この銀行は「National International Bank」となってしまいます。

更に、Hans Wehr の辞書等で示されている「إنتاج أهلي」(国内生産)との表現は、今では使われず、「إنتاج محلي」が一般的に使われる表現です。

以上ですが、このアラブ人の説明では不十分なところもありそうですので、本件は機会を見つけて、もう少し調べてみたいと思います。

回り灯籠

小学校5年生の夏休みの時に、初めて飛騨の高山へ行ったのですが、お盆の頃だったのか、市内の至る所に回り灯籠が置いてあり、ろうそくにともされて浮き上がる色々な背景画が大変美しかったことを今でも覚えています。

その時以来、その回り灯籠を時々思い出すことがあり、外国で作れないかななどと思ったことが何度かありました。

偶然ですが、ジッダの紅海に面した屋外レストランの売店で先日、回り灯籠が売られていて、これは珍しいものが売られていると、即買ってしまいました。

購入した灯籠の挿絵が偶々魚類だったのですが、魚が光で回りながら浮き出て消えていく幻想的な美しさに思わず見入ってしまいました。


因みに、灯籠は、アラビア語では、「مشكاة」というようで(未登録語でしたので、登録しておきました)、回り灯籠は「مشكاة دوارة」と訳せそうです。

訳が気になるアラビア語の単語

昔から辞書を引いても何となく意味がよく分からないアラビア語の単語というのは、山ほどあります。
その理由としては、
(1)辞書におけるアラビア語の英訳が現在一般的に使われ理解されている意味への更新が遅れている
(2)政治、経済、社会、宗教等の分野で各専門家が、(アラビア語の)単語・用語の解釈・定義等を行っていますが(中東では専門分野別の語彙単語集が多数発刊されている)、それらが、いわゆる言語・文法学的な一般の辞書に反映されていない
ということも挙げられるように思います。

アラビア語学習に欠かせないグローバルスタンダードと言われるHans Wehr の Arabic-English Dictionary の最新版(第4版)は1994年に発刊されたので、20年近く改訂されてないことになります。この話題は何度となく取り上げていて、誤解のないように言えば、勿論このHans Wehr の辞書は大変有益な辞書ですが、長期間改訂のない古い辞書が示す時代遅れの訳語は、我々に誤解を与え続けるのではないかと懸念します。

上記の(1)については、気付く限りにおいて本「アラビア語-日本語電子辞書」で更新していますが、(2)への対応はさほど進んでおらず、これから(時間的余裕のある退職後?)の課題ということになるかと思います。

以前から、例えば、
وطني」や「قومي」や「أهلي」などという語について、Hans Wehr 等の辞書に記される訳語をそのまま本「アラビア語-日本語電子辞書」へ登録していたため、意味が通らない訳が中にはあり、(2)の対応で、これらの語とその関連語の訳語の訂正を今行っています。

さて、説明を端折って結論を言えば、「وطني」は、「国の、国家の、国立の」等の意味ですので、日本の天皇誕生日のような各国の国祭日、国旗、国歌、国立銀行、国立大学、国立博物館、国立劇場、国営放送、国宝などの形容詞にはこの「وطني」が使われます。

これに対して、قومي」は、アラブ民族の統一理念を意味する形容詞ですが、一般的な辞書で示される訳語から「وطني」と混同される傾向にあります。قومي」は特定の国に使われる形容詞ではありませんので、上記の国祭日、国旗、国歌、国立銀行等の形容詞としては不適切です。例えばエジプトのナーセル元大統領が汎アラブ主義を主張しエジプトとシリアによるアラブ連合共和国を建国した頃には、قومي」が上記形容詞として使われることはあったのだと思います。「قومية」(アラブ民族主義)には、ナーセル主義、バース主義、アラブ民族主義の3つがあると言われています。

وطني」や「قومي」については、Googleで「ワタニーヤ カウミーヤ」と入力すれば、意味の違いを解説している研究者やシンクタンクのウェブサイトが出てきます。上記(2)の趣旨は、この種のサイトで示される適切かつ当を得た訳語を辞書に反映させていきたいということです。

ところで、وطني」や「قومي」関連の訳語訂正中に、本辞書に既登録の「横浜国立大学」の訳語が「جامعة يوكوهاما القومية」となっていたので「الوطنية」に改めました。「حكومية」でもいいと思います。この種の誤った使い方がよく見られるようです。

長くなったので、「أهلي」の説明は次回に譲ります。

中級辞書Ver.4.30のアップロード

- アラビア語-日本語電子辞書データ更新報告 -
辞書名:中級辞書Ver.4.30
辞書の説明:(Ver.4.28から)新規に200語の追加、約130語の既存入力語の訂正の実施。
特記事項:中級辞書Ver.4.30をベースとした日本語-アラビア語電子辞書データ(72,444語登録)も同時掲載。

كبرى

 「كبرى」は、「أكبر」の女性形ですが、この語の説明に、「強意」であるとか「大きさや規模の強調」という説明を加えている辞書や参考書があることに気付きました、その説明では不十分に思うところがあったので、少し例文を示して考えてみることにします。

حرب كبرى
これは、「大戦」という意味で、具体的には第一次世界大戦と第二次世界大戦のことを指します。2つの世界大戦と言う場合には、「حربان كبريان」とすればいいでしょう。

مدينة كبرى
こういう表現が示されている参考書があり、その意味は、「一つの大都市」ということになりますが、一般的に言えば世界の中から一つの大都市を挙げることは難しいので、「مدن كبرى」と複数形で使うのが普通のようです。それらは例えば、ニューヨークであり、ロンドンであり、東京であるということになります。なお、WIKIによれば、「مدينة كبرى」は「大都市圏」と訳されることもあるとのこと。

دولة كبرى
意味は、国力の観点からの「大国」です。その筆頭は当然ながら米国です。サウジアラビアは世界的には「دولة كبرى」とは言えないかもしれませんが、「دولة كبرى في المنطقة」(中東(湾岸)の大国)という風には言えると思います。サウジアラビアは「大きい国」だという場合は「دولة كبيرة」と言えばいいでしょうが、その場合には単に「面積的に大きい国」という意味にも取れます。

شركة كبرى
大企業という意味で、世界的にはエクソンモービルとかマイクロソフトとかトヨタ等があてはまります。

أخت كبرى
姉妹の中の長女です。3人姉妹の真ん中の次女は「أخت كبيرة」と言えますが、「كبير」と言ってもそれは、年齢的に年上と言うことで、体つきの大きさを意味することはありません。

以上、一般的に言えばという観点からの例示ですので、文脈によっては違う意味になる可能性があります。

一太郎

この話題については、昨年も触れました。

今年も、2013年版の一太郎をダウンロード購入しましたので、一太郎でアラビア語が使えるかどうか試してみました。

結果は、アラビア語の入力自体は、これまでの一太郎に比べると入力がスムーズになったような気がしますが(但し、確証はなし)、文章を入力しても、句読点等の処理が行えない状況には変わりありません。

右から左へ書かれる言語の句読点等は、
(1)ソフト側で適切に処理する、
或いは、
(2)「Unicode制御文字の挿入」機能を使って適切に処理をする、
のどちらかで対応しないと、句読点を単語の左側にもって来れないことになります。

例えば、「PDIC」の画面で、「Word」欄にカーソルを置き、右クリックをすると、「Unicode制御文字の挿入」を呼び出せ、様々な処理を施すことが出来ます。本「アラビア語-日本語電子辞書データ」の編集にも、この「Unicode制御文字の挿入」機能のいくつかを利用しています。

一太郎自身に、アラビア語の句読点を適切に処理する機能がなく、また、「Unicode制御文字の挿入」機能を一太郎上では呼び出せないので、アラビア語の処理は出来ないと言うことになります。

一太郎でのアラビア語の利用の結論は、昨年も書きましたが、アラビア語の文章を適切に入力することは出来ないが、日本語の文章の中にアラビア語の文字や単語を挿入する程度のことは出来るということになります。

一太郎は基本的に日本語に特化したワープロですので、多言語の利用は想定していないということになりますが、アラビア語を含む諸言語を利用する者にとって、この現状は、いわゆるガラパゴス携帯の状況と同じであり、残念としか言いようがありません。

Tamally Maak

ちょうど一年前にこういうことを書きました。

そして、その同じ行事が今日あり、今回は、「Tamally Maak」を妻と一緒に(息子はタンバリンで盛り上げ役)歌いました。

「Tamally Maak」については、昔このブログでも取り上げたことがあります。

当時は、この曲の歌詞が載っているサイトはなかったように思いました(だからこそ、歌詞を敢えて書いたように思います)が、今や、「Tamally Maak」のウィキペディアまであります。

この曲のカラオケ版は探しましたが、みつかりませんでした。
曲の雰囲気と速度は変わってしまいますが、このサイトでカラオケの練習は出来るようです。

歌ってみた感想は、「يا عمري الجاي والحاضر يا أحلى نصيبというフレーズがあるのですが、語数と旋律がマッチしないので、この部分だけは大変歌いにくく、ごまかした歌い方になってしまいます。あとはアインの音などはしっかりと喉を絞めて出すと言うことが必要だと思いますが、なかなかそうはいってもうまくいくものではありません。歌ってみて、少しはアラビア語の発音の勉強になったのではないかと思います。