أهلي

さて、「أهلي」についてです。

アラビア語を母国語とする人に確認したところ、以下のような説明がありました。

まず名詞の「أهل」ですが、
本辞書データ中級辞書の最新版では、
「1.家族、一族、2.住民、民、人々、3.妻、4.一員、会員、5.信奉者、弟子、門下、6.所有者」と登録しています。
1.~3.はあり得る訳語(但し3.は湾岸等地域限定)、4.~6.は現在ではあり得ない訳語とのことですので、そのように訂正します。

次いで、形容詞の「أهلي」ですが、
現時点で、「1.国内の、国立の、国の、2.市民の、3.家族の、家庭の、4.生まれつきの、土着の、5.(動物が)おとなしい、飼い慣らされた」と登録していますが、現在使われるのは2.と3.のみとのこと。これを踏まえ、概ね以下の通りで訂正する予定です。
1.家族の、一族の、親族の
2.[まれ]地方部族の →例として「محكمة أهلية」(地方部族裁判所)
3.市民の → 例として「حرب أهلية」(内戦)
4.私立の、私的な →例として「جامعة أهلية」(私立大学)、「مدرسة أهلية」(私立学校)
  なお、現在では、私大であれば、「جامعة خاصة」と表現する方が一般的なので、これはやや古い表現となります。
5.アハリーの →例として「النادي الأهلي(アハリー・クラブ)、「الفريق الأهلي」(アハリー・チーム)、「البنك الأهلي」(アハリー銀行)等。

الفريق الأهلي」(アハリー・チーム)は、サッカー等の一つのチーム名であって、国の代表チームではありません。

البنك الأهلي」が「National Bank (国営銀行)」と訳されることが多いのは、エジプト等の国において(個人や家族経営による私的に)設立された銀行が「أهلي」という名で登録され、それが国営化された経緯があるからだそうです。

البنك الأهلي الأردني」という銀行があり、その英訳は「Jordan Ahli Bank」ですが、その名称について、同銀行はこのように説明しています。

また、Ahli International Bank という名称の銀行もあります。
「Ahli」 に「National」という意味があれば、この銀行は「National International Bank」となってしまいます。

更に、Hans Wehr の辞書等で示されている「إنتاج أهلي」(国内生産)との表現は、今では使われず、「إنتاج محلي」が一般的に使われる表現です。

以上ですが、このアラブ人の説明では不十分なところもありそうですので、本件は機会を見つけて、もう少し調べてみたいと思います。