2016年5月アーカイブ

トローチをなめる

以前に口内炎になった際に買ったトローチの箱に、

24 قرصا للاستحلاب

と書かれており、「24錠」というのは理解できるのですが、その後に書かれている「استحلاب」は辞書では、「乳搾り、搾乳」と載っています。口内炎用トローチが、「乳搾りのための24錠」ではなんのことか分かりません。

アラビア語を母国語とする人に助けを求めたところ、「استحلب」には、飴玉、キャンディー、トローチ等を口の中で「なめる・しゃぶる」という意味があるそうです。更に、この動詞には、「搾乳」以外にも、化学用語として「乳化させる」という意味もあるようです。

更にコメントがあり、なめる・しゃぶるは一般的には「مص」であり、この種パッケージにかつては「مص」と書かれているのも見られたそうですが、「مص」にはやや卑猥な意味合いがあるので、そのようなことを連想させないためにも、別の語、すなわちاستحلابが使われるようになったのではないかというのが推察でした。

خطر , خطير

これらの形容詞は、ほぼ同じ意味ということで「重大な、重要な、深刻な、危険な、危ない」のような意味で訳語を登録していますが、アラビア語を母国語とする人の話では、両語には意味の違いがあるようです。但し、意味の違いを使い分けている人はほとんどいないであろうとのことです。

خطر」は「危険な」という意味で、
حالة خطرة」は「危険な状態、重体」
شخص خطر」は「危険人物」等々。

他方で、「خطير」は「重大な、深刻な」という意味で、
مشكلة خطيرة」は「重大問題、深刻な問題」等々。

しかしながら、重体の「حالة خطرة」は、「حالة خطيرة」でもいいように思え、意味的に重なり合う部分があると思います。
一般的に両語の意味の使い分けはされないという現状は分かるような気がします。

中級辞書Ver.5.02のアップロード

- アラビア語-日本語電子辞書データ 更新報告 -

辞書名:中級辞書Ver.5.02

登録語彙数:50,200語

辞書の説明:(Ver.5.00から)新規に200語の追加、約100語の既存入力語の訂正の実施。

特記事項:特になし。

حكم

حكم」が語根の単語を見るといつももやもやした気分になるのは、恐らくHANS WEHRの辞書で記される訳、特に、動詞関連の訳が色々ありすぎて、当を得た訳がどれなのかよく分からないということから来ているように思われます。

改めて、HANS WEHRの辞書の「حكم」の項目を見ると、訳の誤りもあるように思われます。

حكم」の関連語は中級辞書でもある程度収録済みですが、誤訳の修正を含め、中級辞書の次々バージョン「Ver.5.04」で訂正を加えておきたいと思います。

例えば、「حاكم」という単語は「統治者」を意味しますが、「حاكم」が統治者として使われるのは現在ではアラブ首長国連邦位しかないように思います。また、この語に「スポーツ競技の審判」などという意味はなく、審判は「حكم」です。

また、「محكم」は、特に裁判官が指名する「調停者、仲裁者」を意味する語のようですが、HANS WEHRの辞書では受動分詞扱いされており、正しくは能動分詞であると思います。

حكم」の動詞派生形の意味についても、もう一度訳を見直しておきたいと思います。

تعاطى

サウジ人と食事中に、「تتعاطى الكوكاكولا؟」と尋ねられ、「تعاطى」がどういう意味の動詞であるのか思い出せず、返答に窮していたら、「تعاطى」を説明してくれたました。

結論から言いますと、「تعاطى」には二つ意味があり、一つは、「(麻薬、覚醒剤等健康を害する薬物等)を摂取する(飲む、吸う、使う、使用する、やる)」という意味だそうです。

そのサウジ人は、「(体に良くないと言われる)コーラを飲むの?」と冗談めいて質問してきたということです。

もう一つは、前置詞「مع」を伴って、「~に対処する」という意味でがあります。
これは「تعامل」と同じような意味ですが、「تعامل」が良い意味でも悪い意味でも「扱う」とか「対処する」という意味で使われる一般的な動詞であるのに対し、「تعاطى」は、「(~との間で色々と問題を抱える中で)~に対処する」という意味であるとのことです。

最近、サウジと米国の関係がぎくしゃくしていると言われますが、そういう両国関係の中での「サウジの米国への対応」という表現は、
تعاطي السعودية مع الولايات المتحدة」と訳すのがぴったりではないかと思います。

تعاطى」は中級辞書で登録されていますが、一つ目の意味(薬物の摂取)が含まれていないので、例文を含めて修正しておきます。

アラビア語の時制(3)

最近気になったアラビア語の時制に、「كان」の未完了形の「يكون」があります。
يكون」は「~になるという意味で、未来を示す」とアラビア語文法書で説明されており、例えば、「アラビア語入門」(池田修著、岩波書店)の「كان」・「يكون」の説明の項目に、
يكون زيد معلما」(ザイドは先生になる)という例文が挙げられています。

このような「يكون」の使い方はこれまでに見た記憶がなかったので、アラビア語を母国語とする人に確認したところ、「この文章は曖昧で、意味がはっきりしないので、この形が使われることはない。未来を表したいのであれば、「س」を付けて、「سيكون زيد معلما」とすべきである」とのことでした。

アラビア語の時制(1)
アラビア語の時制(2)