アラビア語の時制(1)

アラビア語においてはあまり注意を払う必要のない文法事項かもしれませんが、気になる点をいくつかまとめてみたいと思います。

で、第一回目は、未来を示す「س」と「سوف」の違いについて。

未完了形の動詞と共に使われて、未来を表す接頭辞(助動詞)であることはご存じの通りですが、ほとんどの文法書に、両者には意味的に違いはないように書かれています(前者は動詞に触接ひっつく、後者は独立して記されるとの表記の違いあり)。

この2つの接頭辞について、「Elementary Modern Standard Arabic」(Cambridge University Press)(いわゆるオレンジ本)では、「سوف」は「س」より形式張って堅苦しい意味合いがあると書かれています。

そのほか、両者にどのような違いがあるのか、アラビア語を母国語とする人に聞いてみたところ、どちらかと言えば「سوف」は「س」よりも遠い未来を表す場合に使われる、すなわち、明日や明後日、或いは1週間以内程度の未来に対しては「س」を使うのに対し、それらよりももっと先の未来に対しては「سوف」を使う傾向があるとのことです。

なお、「سوف」の後には否定詞の「لا」を持ってきて、
سوف لا يذهب إلى السوق」(彼は当面市場へは行かない)
のように、未来の否定を表せますが、「س」は動詞とひっつくために、否定詞「لا」を使って未来の否定を表せず、そのため「لن」が使われます。
ただ、「سوف لا」と「لن」には若干違いがあり、後者の方がより強い否定を意味します。