2023年10月アーカイブ

中級辞書Ver.6.46のアップロード

-アラビア語-日本語電子辞書データ更新報告-

辞書名:中級辞書Ver.6.46

登録語彙数:64,603

辞書の説明:(Ver.6.44から)新規に203語の追加、約30語の既登録語の訂正の実施。

特記事項:特になし。

متبناة

中級辞書で、「養女」の訳が「ابنة متبنية」となっていました。これは誤りですので訂正しておきました。

正しくは「ابنة متبناة」になります。動詞Ⅴ形「تبنى」の受動分詞女性形ですので、「متبناة」になります。そしてその複数形は「متبنيات」になります。

養子(男性)は、「متبنى」で、複数形は「متبنون」になります。

متبنية」は能動分詞女性形ですので、「أسرة متبنية」は「養子を受け入れる家族」、「أم متبنية」は「養母」になります。

派生形の能動分詞と受動分詞、その複数形などはよく注意しておかないと、混乱してしまいそうです。

上記の単語には母音符号を敢えて振っていませので、読み方を間違わないよう、動詞活用表を見て確認して下さい。

ليس بغريب

先日、バーレーンのハマド国王はバーレーン議会第二会期の開始式の挨拶の中で、「歴史的な遺産や町の保存に力を入れていく」と述べたのに対し、王族関係者がその国王の方針を賞賛するコメントを出し、その記事の見出しが、
اهتمام الملك بالمدن التاريخية ليس بغريب على جلالته」となっていました。

直訳すると、「国王が歴史的な町へ関心を持つのは、国王自身にとっておかしなことではない」となるのですが、賞賛する内容での見出しとしてはくしっくり来ないので、アラビア語を母国語にする人に聞いてみました。

غريب」という語には、「奇異な、変わっている、変な、おかしい」とか「見慣れない、よく知らない、不案内な」のような意味があるので、それに否定詞がつくと、それらの意味の反対で訳し、そう訳して正しいのですが、今回の場合は少し違う意味になるようです。

その回答は、「ليس بغريب على」(或いは「ليس غريبا على」)の意味は、「~には自然なことである」、「普通のことである」、「通常のことである」という前向きな意味になり、そういう意味ではよく使われる表現であるとのことでした。

とういうことで、この文章の訳は「国王が歴史的な町に興味を示すのは国王自身にとっては普通のことである」、「国王は常に歴史的な町に関心を持ってくれている」となりそうです。

また、「محمد ليس غريبا على السياسة」という文章であれば、「ムハンマドは政治に明るい」とか「ムハンマドは政治に精通している」と前向きに訳していいということになります。

بعض المال

先日、ある文章中に、「بعض المال」と書かれているのを見て、「بعض الأموال」と何が違うのかが気になり、アラビア語を母国語とする人に照会しました。

「彼は彼女にいくらかのお金を与えた」という文章は、
أعطاها بعض المال
أعطاها بعض الأموال
の二通りが可能になりますが、これら二文の違いは何かということです。

回答は、いずれの文章も基本的には同じ意味であるが、敢えてニュアンスの違いを挙げれば、「بعض الأموال」は「بعض المال」よりも金額的に多い感じがするとのことでした。
確かに複数形の方が、額が大きいと受け止められるのは、分かるような気がします。

なお、一般的に「بعض」の後の名詞は、その名詞が数として数えることの出来る場合は複数形になります。
بعض الطالب」とは言えず、「بعض الطلاب」でなければなりません。

مال」、「أرض」、「ماء」のように複数形を持ちながらも数としては数えられないが、分量としてみなすことの出来る名詞(こういう名詞のことを何と呼ぶのか分からないのですが...)は、「بعض」の後は単数形でも複数形でも可能であるが、意味的には複数形の場合の方が分量が多いように聞こえるということのようです。

デマルシュ

専門的な用語であるので一般的に使われることはないと思いますが、「デマルシュ」とは「外交的な申し入れ」と言う意味で、一国から、或いは複数国から当該国に対して協力、善処、抗議などを行うことを意味します。

「デマルシュ」については、随分昔にアラビア語で何と言うのか調べたところ、「تحرك دبلوماسي」と訳されていたので、それを中級辞書に登録していましたが、先日「reverso」で調べたところ、定訳があることが分かったので、それを登録しておきたいと思います。

その訳語は「مسعى」となっていました。
「フランスはフランス人逮捕者の解放について中国にデマルシュを行った」という文章のアラビア語訳は、
قامت فرنسا بمسعى بشأن تحرير المعتقل الفرنسي تجاه الصين
となります。

「デマルシュを行う」の「行う」の動詞については、「...قام ب」の他には「بذل」も使うことが出来るようです。

بين يديه

「...بين يدي」は、直訳すれば「~の両手の間で」になりますが、
(1)「~の前で」という意味と、
(2)「~を手に持って」とか「~を携行して」という意味があると多くの辞書で説明されています。
「手に持つ」も「携行する」も片手ではなく両手でということです。

رفع الطفل بين يديه」という文章に出くわしたのですが、この文章の意味は「彼は両手で子供を持ち上げた」になり、(2)の意味で理解できます。

この文章の「両手で」というところは「بيديه」と書いてしまいそうになりますが、それではおかしくなるとアラビア語を母国語とする人から言われました。

それでは、「بيديه」はどういう場合に使われるのかと尋ねたところ、例文として、「أمسك الأشياء بيديه」(彼はそれらの物を両手で掴んだ)を挙げてくれました。

بين」は「~を両手に持って」、「ب」は「~を両手で」と覚えておくといいのではないかと思います。