2023年9月アーカイブ

表題は、アルジャージーラ紙で掲載されたある記事のタイトルです。

因みに、米国とバーレーンの協定というのは、9月13日に両国間で締結された安全保障と経済面での新協定のことです。

さて、この表題の「أبعاد」と「دلالات」をどう訳すのが適当かということで、これら2語についてのより適切な日本語訳を改めて中級辞書でまとめ直しました。

表題については、「米国・バーレーン協定の様々な側面とその意味合い」という訳ですっきりするのではないかと思います。

أبعاد」は「(事件や出来事の政治的、経済的、社会的等の)側面、様相、様態」という意味で、「特色」とか「特質」と訳してもいいのではないかと思います。

他方では、دلالات」については、単数形で「指示」や「兆候」以外に「意味」という意味がありますが(「重要性」と訳してもいいと思います)、複数形については、「含み、含蓄、含意、意味合い、意味するところ」という訳を入れておきました。

中級辞書Ver.6.44のアップロード

-アラビア語-日本語電子辞書データ更新報告-

辞書名:中級辞書Ver.6.44

登録語彙数:64,400

辞書の説明:(Ver.6.42から)新規に200語の追加、約30語の既登録語の訂正の実施。

特記事項:特になし。

بعد الغد

再び「غد」を使った表現の話になります。この件もアラビア語を母国語とする人に確認しました。

例えば、今日が月曜日で明後日が水曜日だと分かっている場合に使う(この例では水曜日を指す)のが、「بعد الغد」となります。日本語では「明後日」という意味です。

前回と同じ説明になりますが、「غد」に定冠詞がつかない場合は、いつの「غد」であるのかはっきりしません。
従って「بعد غد」は「明日以降」の意味になり、「明日以降のいつかの日において」ということになります。

辞書によっては、「بعد الغد」も「بعد غد」も「明後日」(the day after tomorrow)と訳していますが、それは正確ではないように思います。

ということで、「明後日」を表すには「بعد الغد」が使われます。

صباح الغد

صباح الغد」という表現についてですが、「صباح غد」という表現もあるので、それらの違いなどを含め、アラビア語を母国語とする人に照会した結果を記しておきたいと思います。
(ここでは、「صباح」を対格にして、副詞的な意味として扱います。)

صباح الغد」は、間違いなく「明日の朝」や「明朝」の意味になります。それ以外の意味はありません。

他方で、「صباح غد」は、「明日の朝」や「明朝」の意味も可能となりますが、「غد」に定冠詞がないので、明日がいつの明日なのかはっきりしないということで、必ずしも明日の朝ではなく、数日後や一週間後の朝という意味と理解することが可能であるとのことでした。
こういう説明はピンとこないところがありますが、「غد」の複数形は「أغداء」(但し、複数形が使われることは希だと思います)なので、
صباح غد」は「صباح غد من الأغداء」と理解しておけば、「いくつかある明日の中の一つの明日の朝」ということで、いつかはっきりしない朝ということになるようです。

いずれにせよ、「明日の朝」や「明朝」と明確に言う場合には、「صباح الغد」を使う必要があります。
或いは「غدا صباحا」という表現も「明日の朝」や「明朝」になります。

الواضح

日本のアラビア語文法学者による「現代アラビア語文法」という文法書があり、そのアラビア語訳が
الواضح في قواعد العربية المعاصرة」となっていました。

形容詞の「واضح」が名詞になるのかなどと、アラビア語を母国語とする人に聞いてみたところ、「宗教学、イスラム法学、語学関連の書籍や辞書、文法書などタイトルに「واضح」が使われることがある。一昔前の用法で古めかしい表現であるが、立派で権威ある書物との印象を与えるであろう」とのことでした。また、同様に使われる他の単語も教えてくれました。

「الواضح」は「明らかである」という意味の語ですから、「明解」と訳すれば、この文法書は「明解現代アラビア語文法」という感じでしょうか。

同様に、「المبين」(Ⅳ形能動分詞)という語も解説書や辞書のタイトルで使われるようで、同じく「明解」と訳せそうです。

また、「المختصر」も使われるようですが、こちらは簡約版とか簡略版の意味になります。辞書に簡約や簡略などというタイトル名を付けると、大雑把な辞書という印象を与えかねないので、日本では「ポケット版」と訳されていると思います。