2011年9月アーカイブ

サウジアラビアへ運んだグランドピアノ(3)

 楽器はその所持者が調律をするのが普通で、ピアノだけが例外だと言われます。ピアノは一般的には調律師に調律をしてもらう必要がありますが、サウジアラビアにいては、自分でやらざるを得ないと納得してしまう方が、事がスムーズに運ぶと思いました。
 しかしながら、ここジッダの学校、大学、催し会場等にピアノは置いてあるはずで、そうであれば相当数のピアノがあることになり、調律師も一人くらいはいるのではないかと思います。調律師を探して、きちんとした調律をしてもらうということが次の課題になります。

 自分でとりあえずの調律をやるとなると、まずは情報収集です。
 ピアノの調律については、ネット上でピアノ店や個人の調律師の方により多くの情報提供がなされていますので、これらのサイトが参考になります。
 次に、調律道具が必要になります。幸い、子供の補講のために妻と子供が夏に日本へ戻っていたので、持ち帰ってもらうことにしました。調律道具は調律の専門店で扱っていますが、アマゾンでも取り扱っていたので、ここからネット購入しました(amazon.co.jp で、「ピアノチューニングキット」で検索)。入手したキットの内容物は、チューニングハンマー、木製ウェッジ、ゴムウェッジ、ミュートフェルト、チューナー(KORG製)になります。表示

 さて、実際の調律についてです。
 勿論、これまでに調律の経験はありませんので、参考になるサイトを見ながらやってみました。例えばこのようなサイトです。
 http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Miyuki/4707/kai01.html

 しかしながら、どうもよく分からないことがあります。調律の基本は中央部の鍵盤から始めるらしく、中央部の鍵盤の弦は3本あり、ミュートフェルトで3本の弦の両端の弦を止音して、真ん中の弦から調律していくと説明されているのですが、ミュートフェルトで両端の弦の音を止め、真ん中の弦の音だけを鳴らすということがどうもうまく出来ません。真ん中の弦の音がこもってしまい音がよく聞き取れません。フェルトの入れ込み方が悪いのでしょうか?

 仕方がないので、両端の弦の音を止める調律という方法は止めにして、まずは、一つの鍵盤に張られている3本の弦のうち中央弦のピンをチューニングハンマーでうなりが少なくなるポイントを探してそこで止めるという調整を行い、その後残りの2本の弦を同様の方法で調整するという繰り返しを中央部の鍵盤全部に行いました。しかしながらこの方法は素人考えの論外な調整方法であり、実際上調整には多大の難があることが分かり、結局はフェルトの代わりにゴムウェッジを利用してユニゾンの作業を進めました。
 チューナーで中央「ラ」音を442Hzに合わせて調律を進めましたが、チューナーの針の振れを見ながらの調整が心許ないことがあり、その際には、ピアノの消音機能を利用して電子音を出し、本物の音と比較しました。正確なヘルツ数の音を出す電子音と比べながら作業できるのは大変助かったということになります。 表示
 
 このユニゾンの作業一つにしても、初心者には相当時間がかかります。初日に中央部の調律を終わらせ、次週に中央部と低音部、3週目に中央部と高音部(この状態で中央部の音は安定してきた感じがある)、4週目に低音部と高音部ということで、1ヶ月が過ぎました。その後は、様々な曲を弾きながら、オクターブや和音がなんとなくおかしいと感じる度に、微調整を繰り返しました。
 
 当初の狂いの状態からは、かなり良くなったとは思いますが、所詮は調律の知識と経験がない者が行ったこと、それも単にチューニングハンマーをチューニングピンに差し込んで、弦を張ったりゆるめたりするよう右へ左へ回しただけなので、調律の序の口に触れた程度のことだと思います。よって、プロの調律師の方からすれば、きっと話にならない調律だと思います。確かに、調律直後はいい音を保てても、2週間程度経つとどこか狂っているような感じがあり、ピンを微調整せざるを得ません。こんなに頻繁に微調整をしないといけないのは、根本的に調律方法に問題があるのだとに思います。
 調律師を探して、早急に全般的な調整をしてもらいたいという思いに変わりはありません。

 なお、余談ですが、 「サウジアラビアへ運んだグランドピアノ(2)」で触れた超音波式の加湿器ですが、ネットで検索すると色々欠点が指摘されています。その指摘は正しく、家中の家具が白っぽくなる(吹き出された水中のミネラル成分が白い粉となって現れる)現象が起きました。
 また、蒸気発生部をブラシで洗ったせいか、蒸気発生能力が低下し、加湿器はほとんど使いものにならなくなり、家具が白くなるのも嫌なので、使うのを止めました。湿度については、今のところ、ちょっと窓を開けたりして湿度を含む空気を室内に取り入れるようにしています。しかしながら、いくら努力しても、40%を上回ることは希で、この状態が長期間続くと響板等に影響が出るのではないかと心配は残ります。

 更には、この加湿器が「NIKAI」製で、「(有限会社)NIKAI, JAPAN」の連絡先が「神戸市灘区篠原本町...」と梱包箱に書かれていたので、てっきり日系企業の製品だと思って買ったのですが、どうもそうではないようです。表示
 http://forum.aramcoexpats.com/viewtopic.php?f=26&t=3792

 有限会社として登録してされている(であろう)神戸の住所を梱包箱に明記している以上、その部分は恐らく嘘ではないのでしょうが、これは、日本ブランドと見せかけるための便宜上の措置で、実態は日本と関係はないのかもしれません。
 http://www.nikai.com/ では、日本との関連性は読み取れませんが(神戸の本拠地にも触れられていない)、NIKAI傘下の会社として、「NIKURA JAPAN」が紹介されており、このサイトがこれになります。http://www.nikurajapan.com/ 
 いずれにせよ、NIKAIという会社の日本との関連性.....謎めいているように思います。
 

パソコンの新調

 4万語収録を契機に、辞書作成用のパソコンを新調することにしました。パソコンは母艦となるノートパソコンと辞書作成を主目的とするネットブックを持つことにしていますが、これまでネットブックについては東芝のNB100/HFを使ってきました。
 http://dynabook.com/pc/catalog/nb/090119nb1/index_j.htm

 NB100/HFは、OSはWindows Vista、記憶装置としてSSDを備えているので軽快に動いていたのですが、Windows7にアップグレードしてから動作がやや遅くなり、また、小型で持ち運びは便利なのですがその分キーボードが小さく打ちにくいという不満がありました。
 
 海外でパソコンを購入するのは2回目で、中東での購入は初めて(キーボードにアラビア語のシールを貼らなくても、最初からキーボードがアラビア語仕様となっている)となります。
 
 今回購入した機種は、同じく東芝のNB520-112という製品です。欧州の東芝が製造しています。
http://gulf.computers.toshiba-europe.com/innovation/en/product/Toshiba-NB520-112/1110300/toshibaShop/false/
 これと同等の機種が、日本の東芝からN300/02DCとして売られています。
 
 スペック的にはメモリーの容量やバッテリーの持ち時間等でNB520-112の方がやや上のように見られます。他方で、価格的には円高のせいもあり、NB520-112の方が安く買えます。ジッダのジャリール・ブックストア(http://www.jarirbookstore.com/)で購入しましたが、価格は1399サウジ・リヤルでしたので、今の為替レートでは、日本円で3万円弱位だと思います。
 表示 (パソコンの保護シートはまだ外していません)

 使用感は今のところ申し分ありません。特にスピーカーは恐らくネットブックとしてはトップクラスの音質だと思います。キーボードも店で他社製と比較したのですが、安っぽさのない感触があります。日本のサイトでN300は冷却ファンの音がうるさいと書き込まれていたのが気になっていましたが、時折回るファンを不快に感じることはなく、安心しました。なお、NB520には、パソコン用のケースが付属品として付いていましたが、パソコンにケースが付いていたのは初めての経験です。

 NB520のOSは英語版のWinodws7(Starter)なので、日本語が使えるように変更する必要があります。そうしないと、例えば、日本語のソフトをインストールする際の表示画面等で日本が「?????」等と文字化けして表示される場合があります。
 その場合には次のように設定します。
 「Control Panel」→「Region and Language」で「Formats」「Location」において、「Japanese(Japan)」を選択し、「Administrative」の「Language for non-Unicode programs」のところでも「Japanese(Japan)」を選択します。これで、問題なく日本語が表示され・入力できる環境になりますので、英語版OSにおいても日本語ソフトは問題なく走らせることが出来ます。私の場合は、日本語IMEはATOKを使っているので、ここでATOKを一太郎のDVDからインストールしました。
 日本語が使える環境にしてしまったら、あとは「Keyboards and Languages」からアラビア語を加えて、日本語もアラビア語も使えるようにします。これで、言語関係の環境設定は完了で、問題なくPDIC上で「アラビア語-日本語電子辞書データ」は使えることになります。
 表示  表示  表示  表示  表示 (PDIC画面での日本語フォントは「Meiryo UI」を使ってみた。やや横に間延びするので、気に入っているわけではないが....)
 

تم تسجيل أربعين ألف كلمة

 予定していたより早く4万語の収録となりました。この「アラビア語-日本語電子辞書」は、名詞については複数形も含んでいるし、例文や諺等も入っているので、4万「語(word)」というのが適当かどうか分かりませんが、4万の語彙(vocabulary)の収録に至ったということです。

中級辞書Ver.4.00のアップロード

- アラビア語-日本語電子辞書データ更新報告 -
辞書名:中級辞書Ver.4.00
辞書の説明:(Ver3.98以降)新規に200語の追加、約30語の既存入力語の訂正の実施。
特記事項:「アラビア語-日本語辞書」4万語収録を契機に、「日本語-アラビア語辞書」も更新しました。

مبراة

 小6の子供がこの秋からジッダの英国系の学校に通い始めました。欧米系の学校は9月が新学期なので、この秋から一足先に中学1年生になったということです。
 その学校ではアラビア語の授業があり、教科書も配布されたとのことで、子供に見せてもらったのですが、その第一課に「アラビア語-日本語電子辞書データ」で未登録の単語があること気づき、ちょっと面食らった次第です。「鉛筆削り」という意味の単語です。早速登録しておきます(「表示」のクリックで、第一課で学ぶ新出語彙)。
表示

خطأ の格変化(母音符号)

 語末にアリフの上にハムザが置かれる単語の格変化については、例えば、خطأ という単語の場合、その主格は、خطأٌ  、対格は、خطأً  と母音符号を振るのは正しいように思いますが、属格の場合、خطأٍ  と母音符号を振ると座りが悪い感じがして、それで正しいのかどうかが気になり、手持ちの文法書で調べてみたのですが説明がなかったので、結局、この種の質問を投げかけられるサイトへ意見を求めました。
 属格の場合には、
خَطَئٍ  になるとの誤った説明が寄せられ、それを別のアラブ人が訂正するという過程を経て、正解の結論は、خطأٍ  でした。その際、以下の参照サイトが示されていました。

Reference: http://www.alfaseeh.com/vb/showthread.php?t=32164
Reference:
http://www.alfaseeh.com/vb/showthread.php?t=28201&s=7530bf28...

 このような単語には、他にはمرجأ  等があるようですが、格変化や双数形の場合の表記等も注釈をつけて説明を入れておきます。

※現在利用中のブログ作成システムでは、アラビア語の母音符号がうまく打てない場合があるので、ワードで作成した文章をブログに貼り付けたところ、上記の通り、アラビア文字が日本語と重なり見づらくなっています。以下にワードで作成したファイルを置いておきます。
格変化説明.docx


中級辞書Ver.3.98のアップロード

- アラビア語-日本語電子辞書データ更新報告 -
辞書名:中級辞書Ver.3.98
辞書の説明:新規に100語の追加、約10語の既存入力語の訂正の実施。
特記事項:特になし。

どじょう

 日本では「どじょう」が話題のようですが、アラビア語で「どじょう」を何と言うか調べてみたところ、「どじょう」の英訳の「loach」の発音をそのままアラビア語にして「لوتش」と言うらしいです。
  恐らくこの単語を見て、「どじょう」と理解するアラブ人はいないと思いますので、補足説明が必要になると思いますが、「لوتش」を「どじょう」で本辞書に入力しておきます。
 なお、アラビア語のサイトの中には、日本語の発音のまま「دوجو」と書いてあるものもありました。「دوجو」には「道場」の意味もあるようです。

サウジアラビアへ運んだグランドピアノ(2)

 製造されたピアノがどこの国・地域で使用されるかによって違いはあると思いますが、日本製のピアノが日本で使用される場合、ピアノの管理環境としては、次のようなことが言われているようです。
・急激な温度・湿度の変化がなく、直射日光の当たらない場所

・温度20度・湿度55%前後が最適環境。
・温度15度から28度、湿度45%から70%の範囲での管理が快適な環境。

 日本ではマンションに住んでいたので、概ね上記の快適な環境下で管理が出来ていましたが、こちらサウジでは、まず、炎天下のジッダ港で1ヶ月近くピアノを含む船荷が放置され、その後、自宅へ運ばれたものの、温湿度計はこんな数値を示しており、かなり厳しい管理環境となっています。 表示

 ジッダは海岸沿いなのでサウジの中でも湿度は高い方ですが、夏場は閉めきって室内で冷房を入れるので、クーラーで除湿されてしまい、湿度は30%に達することはありません、こんなに低いとは驚きでした。きっと人間の肌にも悪いのだと思います。これではいけないと早速加湿器を買いました。冬場の暖房機により室内の空気が異常に乾燥するシカゴにいる時に使っていたのと同じ超音波式の製品です。 表示

 加湿器をフルで動かしても、冷房を入れると極端に湿度が下がってしまいます。今は暑いので冷房を頻繁に入れざるを得なく、温度と湿度のバランスを取るのが難しいところです。冷房を全く入れず加湿器を稼働させる状況では、湿度は45%程度に上がります。結論的には、加湿器を稼働させた状況での湿度は30-45%位で、上記の快適な管理条件よりかなり低い値となってしまします。

 加湿器の購入で、少しでも湿度を標準に近づけようとした甲斐もなく、徐々にピアノ(アコースティック)の音が狂い始めました。日本と大きく異なる条件が3ヶ月も続くと、さすがにこうなってしまうのでしょうか。ドレミファソラシドと鳴らすと古典音階のような感じになり、何か曲を弾くと、聞くに堪えない音を出すようになりました。

 ここまでくると、調律をしないといけないということになります。
 カワイについては、残念ながら、サウジに代理店はなく、中東では、イスラエル、イラン、ヨルダン、クウェート、オマーン、レバノン、UEAに代理店があります(http://www.kawai.co.jp/worldwide/world/index4.html)。
 ジッダではヤマハの各種ピアノ(グランド、アップライト、電子)は売られています。また、韓国製の三益(Samic)社のピアノもグランドピアノを含めて売られています。もし、ヤマハかサミック製を所持していれば、調律を代理店に依頼することは出来ますが、他社のピアノの調律は受け付けていないとのこと。また、ヤマハについては、調律師はジッダには常駐しておらず、ドバイから来てもらうしかないとの話を聞きました。
 製品を問わないピアノの調律師が一人位はここでもいるように思うのですが、いずれにせよ、今後温度・湿度の管理がままならないと、比較的短期間のうちに何度も調律をせざるを得なくなる可能性が高く、そういうことを考えると、自分自身が調律に挑戦するしか道はないのだろうと思い始めました。今回持参したカワイのピアノの利点は、消音装置で電子音を出せることであり、消音設定で基音のヘルツ変更も可能なきれいな音を出せるので、アコースティックの音が狂っても弾く分には問題ないのですが、せっかくアコースティックの音を多少なりとも出せる環境にあるので、生の音を調律したいという気になった訳です(続く)。

中級辞書Ver.3.97のアップロード

- アラビア語-日本語電子辞書データ更新報告 -
辞書名:中級辞書Ver.3.97
辞書の説明:新規に100語の追加、約20語の既存入力語の訂正の実施。
特記事項:特になし。