非限定対格のタンウィーンの位置(2)

タンウィーンの位置について私は、「子音の上にタンウィーンが付される方式」が正しいと思っていました。

このアラビア語ー日本語電子辞書では、その方式に従ってタンウィーンを振っています。

では、何故「子音の上にタンウィーンが付される方式」が正しいと思ってきたのか?

多くのアラビア語文法書や参考書を日本に残してきたので手元にあまりないのですが、バーレーンへ持参してきているものからまとめると次の通りです。

「アラビア語入門」池田修著(岩波書店):タンウィーンの位置についての言及はないが、同文法書内では「子音の上にタンウィーンが付される方式」となっている。

「基礎アラビヤ語」内記良一著(大学書林):タンウィーンの位置はアリフの直前の文字の上に付されるとの説明があり、同文法書内では「子音の上にタンウィーンが付される方式」となっている。

「大学のアラビア語詳解文法」八木久美子、青山弘之、イハーブ・アハマド・エベード著(東京外国語大学出版会):非限定対格の語尾は「ــًـا」となるとの記述があり、子音の上にタンウィーンが付される方式」となっている。

「Modern Literary Arabic」 David Cowan著(Cambridge University Press ):明確な説明はないが、「كلب」の対格は「كلبًا」と表記しており、子音の上にタンウィーンが付される方式」となっている。

「Modern Written Arabic」 Elsaid Badawi, M.G. Carter, Adrian Gully 著(Routledge):非限定対格の語尾は「ــًـا」となるとの記述があり、子音の上にタンウィーンが付される方式」となっている。

このいう書物で学んできたので、子音の上にタンウィーンが付される方式」が正しいと思ってきたようです。

アラブ圏以外のアラビア語教授法は欧米式教授法を採っているので、子音の上にタンウィーンが付される方式」が定説となり、日本でも同様の教授法を採用しています。

アラビア語学科を有する国立大学の東京外国語大学や大阪大学外国語学部(旧大阪外国語大学)のアラビア語関連サイトでも、タンウィーンの扱いは同じようです。

http://www.tufs.ac.jp/common/fs/asw/ara/arabic/zukai_na7w/i3rab.htm

http://www.tufs.ac.jp/common/fs/asw/ara/arabic/imlaa/tanwin.htm

http://el.minoh.osaka-u.ac.jp/wl/ar/lesson01/pdf/L1_3.pdf

また、この件で日本の友人に確認したところ、米国国務省が作成している国務省のアラビスト向けアラビア語の教科書では、タンウィーンについては同様の記述となっていると、そのページをコピーで送ってくれました。(続く)