2022年1月アーカイブ

إصدارات

このアラビア語-日本語電子辞書は、Windowsで利用できる文字体系がユニコードで統一される以前に各国独自の文字コード体系(コードページ)を利用していた頃から作成しており、すなわち、Windows 2000でユニコードが採用となった2000年以前から、基礎的な単語を中心に入力を行っていました。

基礎的な単語を入力していた頃は、参照すべき辞書が充実しておらず(HANS WEHRは第3版)、それら辞書を基にして収録した基礎的な語の訳におかしい点が見られるので、そういう語を見つけては修正してきています。更には、語の意味は時代の流れで変化してきているので、最新の訳語を収録するようにも努めています。

さて、「أصدر」という動詞、その動名詞の「إصدار」の訳におかしいところがあったので先程修正しました((例えば、「أصدر」に「輸出する」という意味が入っていた)。
また、「إصدار」の複数形である「إصدارات」は最近よく見かけるように思われるので、動名詞の複数形も収録しました。

複数形の意味としては一つは出版物ということになりますが、単数形でも複数形においても、「(発売された商品、物品、刊行物の)型、版、型版、(新作、新発売の)作品、リリース、<コンピューター>(ソフトやドラ-バー等の)版、バージョン」の意味で使われるので、これらの意味を追加しておきました。

الدبران

NHKで今放映中の朝ドラの主題歌は久しぶりに聞き応えある心に響く曲で、また、ドラマの内容も展開が面白く、娯楽の少ない中東でこの15分間はちょっとした楽しみになっています。

「アルデバラン」という主題歌の曲名が何を意味するのか、「アル・・・」などと聞くと、その「アル」はアラビア語の定冠詞ではないかと思いながらも、ずっと調べることを忘れていたのですが、やっぱりアラビア語であったということが分かり、驚きました。

アラビア語学習者にとっては周知の話かもしれず、ドラマ開始から2ヶ月半経った今となっては、間の抜けた話題ではありますが、やはりちょっと触れておきたいと思いました。

詳細は、「アルデバラン」や「الدبران」で検索するとウィキペディアを含め色々な説明がありますので、読んでみて下さい。
「アルデバラン」は、東の地平線からプレアデス星団(スバル)に続いて夜空に昇ってくることから、「後に続くもの」と言うアラビア語に由来する牡牛座α星であると日本語のサイトで説明されています。

الدبران」については、Ⅰ形の動詞「دبر」の形容詞(名詞)形である2段変化の「دبران」ということで、「كسلان」や「غضبان」などと同じ形になります。

دبر」はⅡ形の動詞で使われることが普通なので、「دبر」にⅠ形の動詞があることを今回初めて知りました。
アラビア語-英語辞書(AL-MUGHANI AL-FARID)で調べてみると、Ⅰ形には、「to follow close behind」という意味があると書かれており、「近接して後を追う」ということになるようです。

地球から「アルデバラン」までは65光年(1光年は約9兆5千億km)以上かかるらしく、気が遠くなる話ですが、天文学の解説を興味深く読みました。
占星術的には「アルデバラン」は富と幸福の星で、大吉の星のようです。
天空に見える時期になれば見てみたいと思っています。





احترز , احترس

形が似ているこれら2つの動詞は、「気をつける」、「用心する」、「警戒する」という意味ですが、アラビア語を母国語とする人に確認したところ、これらには少し違いがあるようです。

احترز」は、既に存在する危険等に対し「気をつける」ということで、例えば、「落ちている釘に気をつける」とか「食事において糖質に気をつける」というような場合に使われます。「気をつける」というよりも「避ける」と訳すのが適当な場合が多いようです。
なお、動名詞の「احتراز」は、コロナ感染に対する「予防的措置」という意味で、最近、複数形で多用されています。

他方で「احترس」は、将来起こるのではないかと予想されることに対して「気をつける」という意味で、「(家に侵入してくるかもしれない)泥棒に気をつける」とか「(ぼんやりしていると落ちてしまうかもしれない)道のマンホールへの落下に気をつける」という場合に使われます。
なお、この動名詞の「احتراس」は存在しますが、あまり使われることはなく、また、複数形で使われることはないとのことです。

ついでながら、「احترز」にせよ「احترس」にせよ、目的語が動名詞になる際には、「~しないように気をつける」と訳すのがぴったり来るようです。
احترس من الوقوع في الحفر」という文章は、「彼は穴に落ちないように気をつけた」と訳されます。

中級辞書Ver.6.24のアップロード

-アラビア語-日本語電子辞書データ更新報告-

辞書名:中級辞書Ver.6.24

登録語彙数:62,400

辞書の説明:(Ver.6.22から)新規に200語の追加、約30語の既登録語の訂正の実施。

特記事項:
パスワードについては、パスワード内の西暦を本年の西暦に変更の上解凍して下さい。

半径

某日本語-アラビア語辞書に「半径」のことを「شعاع」と書いてあって、気になったので別の日本語-アラビア語ネット辞書でも調べてみたのですが、「半径」の訳の一つが「شعاع」となっていました。

一般的な言い方は直径の半分なので「نصف قطر」ですが、ネットを見てみるとアラビア語ウィキベディアも含めて「شعاع」が使われているサイトが多数ありました。

そこで、複数のバーレーン人やサウジアラビア人に照会してみたのですが、「شعاع」が「半径」であるとは誰も知らなかったというのが調査結果でした。

この手の話はこれまでにも取り上げたことがありますが、結局のところ、国・地域によっては使われているところもあるということなのだと思います。

نصف قطر」であれば、いずれの国・地域でも「半径」と理解されるので、「شعاع」の扱いについては、意見が分かれるかも知れませんが、「まれ」表記を付しておきたいと思います。

Windows 11とアラビア語

昨年10月にリリースされたWindows 11を利用している方もおられると思います。

Windows 11で、アラビア語の表記等において何か変更点があったのかということについてですが、ネットで検索してもそういう情報は見つけられませんでした。

また、これまでブログで触れたアラビア語表記の問題点について、改善はなかったようです。


この問題、すなわち、「دلل」に「ه」を付けた場合の問題は解決されていません。相変わらず「دلله」と表記されてしまいます。
同様の問題は他の組み合わせでもあるのかもしれませんが、「Shift+J」で文字を伸ばせますので、最後の「ل」で「Shift+J」を使ってその「ل」を伸ばし「ه」を入れると「دللـه」ととりあえずは表記出来るので、目くじらを立てる問題ではないですが、プログラムミスであるということには変わりはないのだと思います。


この問題についても改善されていません。
لِلّٰهِ」と母音符号を振るためには、面倒臭い手順を経なければならない状況に変わりありません。

母音符号を含めたアラビア語入力と表記については、Windows 7 で大きな改善と進展があった訳ですが、それ以降、不具合の修正は特に行われていないのではないかと思います。



謹賀新年(2022年)

新年明けましておめでとうございます。

本年もぼちぼちのペースになりますが、中級辞書を更新していきたいと思います。

今住んでいるバーレーンはフィンテックに力を入れており、フィンテックに特化した「Fintec Bay」という地区があります。そのサイトを見ている際に、フィンテック関連の辞書を見つけました。

これまであまり専門語をまとめて登録したことがなかったのですが、上記辞書を十分に精査の上、フィンテック関連用語を中級辞書の最新版に登録しておきました。
特定分野の専門語の登録については、今後も続けていきたいと思います。

また、いずれの言語においても新語が登場し既存語の用法が変化しており、それはアラビア語においても同じですので、引き続きそういう点にも注意しながら辞書の更新を行っていきたいと思っています。