2019年2月アーカイブ

رد الاعتبار

このような表現があって、考え込んでしまいましたが何を意味するのか分かりません。

丹念にいくつかのアラビア語-英語辞書を見てみると、「اعتبار」には「名誉」という意味があって、「رد الاعتبار」は「名誉回復」という意味だと書かれていました。「إعادة الاعتبار」とも言えるとのことです。

今に至るまで、「اعتبار」にそんな意味があるなどと知らず、恥ずかしい限りです。

اعتبار」の訳語については見直しておきます。

سالب

先般話題にしたNHK「テレビでアラビア語」の「アラブの秘宝を探せ!」の物語の中で「هو سالب كنز السيد سلطان」という文章がありました。
سالب」は様々なアラビア語-英語辞書で「否定的な」とか「負の」という意味は書かれていますが、「سلب」(盗む、持ち去る、奪う)という動詞の能動分子や名詞の訳語を書いている辞書がほとんどありません。

自分自身も、「سالب」を見ると即座に「否定的な」という意味にとってしまいがちなのですが、ここでは勿論「持ち去る人」ということです。
その文章は「彼はスルタン氏の財宝を持ち去った人物だ」という意味になります。

それなりに定評のある辞書においても、特に動詞Ⅰ形の能動分子や名詞の訳語が記載されていないケースは結構多いように思われますので、要注意です。

本辞書では、そういうことのないようにしていきたいと思います。


アラビア語キーボードシール

本アラビア語-日本語電子辞書はPDICという単語検索ソフト用に作成していますが、スマホでの単語検索アプリを利用してスマホ上で利用することも可能性です。
しかしながら、その場合、高度な検索は行えないので、やはりWindowsパソコン上のPDICで使うのが最適な利用方法になります。

その観点からは、超小型のWindowsパソコンを電子辞書的に利用できる形態が理想だと思ってきました。
その理想にやや近かったパソコンとして、東芝の「Libretto」などがありましたが、超小型と言えるパソコンではありませんでした。

さて、日本製ではなく中国製ですが、昨年、超小型のWindowsパソコンが発売になり、その改良版が先般発売になりました。この製品は電子辞書的利用としてはかなり理想的な製品と思われたので試してみたく、妻からの特段の許しを得て、購入しました。

この超小型パソコンは、実に良く出来ていて、ほぼ満点を与えることの出来る製品で、大変満足しています。
他方で、こういう分野で日本勢が出てくることはもうないのではないかと思うと、寂しさも感じました。

さて、このパソコンは基本的には英語仕様のキーボードとなっているので、アラビア語を使うにはアラビア語シールを貼っておく必要があります。

アラビア語キーボードシールについては、かなり以前に、こういうブログを書いたことがあります。
ここで書いたラベル・プリンターを現在も持っているので、アラビア語シールを作ることは出来るのですが、アラビア語キーボードシールをサウジアラビア滞在時に購入していたので、今回はそれを使いました。

PhotoGridLite_1550934111785.jpg

ところで、アラビア語キーボードシールを検索すると、日本のアマゾンなどでも買えるようになっていて、アラビア語環境構築が随分と身近になったものだと驚きました。中東で買うのより値段は5倍くらいは高いですが、そうそう買う必要があるものではないので、ネット通販で買ってしまうのが便利に思います。

因みに、ラベル・プリンターで作成するには、カシオの製品については、ラベル作成ソフトがUnicodeに対応したのでアラビア語を含む多言語を印刷できます。
また、ブラザーの製品もラベル・プリンターでは有名ですが、製品情報には「Unicodeを採用していますので、複数言語の文字を同じラベルに混在させることができます」と書かれており、こちらの製品を使ってもアラビア語を含む多言語のラベルが作れるようです。




中級辞書Ver.5.48のアップロード

- アラビア語-日本語電子辞書データ 更新報告 -

辞書名:中級辞書Ver.5.48

登録語彙数:54,800語

辞書の説明:Ver.5.46から新規に200語の追加、約80語の既登録語の訂正の実施。

特記事項:今回の更新には時間を要しました。

NHKのアラビア語講座

 サウジアラビアのBISJの中学時代にアラビア語の授業が必須だった長男は、アラビア語の懐かしさもあって、今日本の大学で、この3学期にはアラビア語の授業を取り、勉強をしています。
 大学ではエバ・ハッサン先生と木下宗篤先生に教わっているそうですが、エバ先生はNHKの「テレビでアラビア語」の講師、木下先生はその監修を長年されている先生だと知り、久しぶりになりますが、「テレビでアラビア語」のテキストを取り寄せてみました。

 その昔、NHKに対して語学講座で「アラビア語」を取り上げてもらうための署名をしたことがあります。
 時を経て、テレビでもラジオでも「アラビア語」講座が今に至るまで続いていることを喜ばしく思っています。他言語に比べると学習者が少ないので講座を継続させていく苦労は大きいと思われますが、是非ともアラビア語講座がこのまま続いて欲しいと願っています。

 さて、テキストを取り寄せてみて、2018年度の「テレビでアラビア語」は再放送版であると知りました。その中で取り上げられている創作ドラマ「アラブの秘宝を探せ!」にざっと目を通したところ、簡単すぎもせず難しすぎもせず、一通り文法を学んだ方の学習教材としては面白いのではないかと思いました。

 このドラマの中には結構役立つ表現がありました。日本語で言われてもそれをアラビア語に即座に訳すのにちょっと「う~ん」と思ってしまうような言い回しで、「転売する」、「打つ手がない」、「胸が苦しく動悸も感じる」、「例の物をお持ちしました」、「二度とないチャンスです」、「真珠が取れる場所」、「一儲けしようと思った」等がありました。
 因みに、「二度とないチャンスです」は「هذه فرصة لا تعوض」と書かれていました。

 これらの興味深い言い回しについては、中級辞書にも取り込んでおきたいと思います。

تملي معاك " مرة أخرى "

随分前になりますが、この歌謡曲については、一度ここで取り上げました。
この中で、この曲のリンクが切れています。この曲を検索すると多数のYouTubeサイトが出てきますが、例えばこちらです。

この歌謡曲は大きなヒットを収め、その人気から、アラビア語以外の数多くの言語でも歌われることになりました。

3月末に、何のジャンルの演奏でもOKという音楽会があるので、この曲を披露しようと考えています。

改めて、「تملي معاك」の歌詞を見てみると、エジプト方言の曲ですが、一番最初の「تملي」からして、どういう意味なのか分かりません。

日本人が分からないのは当然のことで、エジプト人でないアラブ人が、エジプト人に「تملي」ってどういう意味なのかと質問しているサイトを見つけました。そこでの回答は、以下のとおりです。

تملي」は2通りの考え方がある。
一つ目は「ملى」のⅤ形の「تملى」(Tamalla)であり、これには「長生きする」とか「人に従う」などの意味があるが、この歌で使われているのはこの「تملي」ではない。
二つ目は、「تملي」はトルコ語(元々はギリシャ語)で、「تمل」は「基礎」という意味。これに「لي」が付くと「永遠に」、「いつまでも」という意味になるというもの。
تملي معاك」で「あなたといつまでも一緒に」という意味になる。すなわち、フスハーで書けば「دائما معك」となり、これが正解。

こんなに流行った歌の最初の語句をアラブ人であっても簡単には理解できないということから、改めてアラビア語の持つ奥深さを感じる次第です。