كاس , لبق

昔、「女性の品格」や「親の品格」という本が流行ったことがありましたが、「品格」にぴったり来るアラビア語は何だろうかと、某日本語-アラビア語ネット辞書を検索すると、「وقار، هيبة، مهابة」などがヒットしましたが、いずれも「品格」に相当するアラビア語訳としては無理があるように思いました。

そこで、ついでに、「品位」というアラビア語を検索したら、
كياسة」と「لباقة」がヒットしました。いずれの語も中級辞書には既登録語ですが、元の動詞の「كاس」や「لبق」の本来的な意味がよく分からなかったので、アラビア語を母国語とする人に聞いてみました。

その結果は、次の通りです。
كاس」:この語は、エジプトのアンミーヤでよく使われる「كويس」の語源ということですが、本来的には、行動において人とぶつからないようにさっと身をかわしたりするのが上手であるという意味らしいので、本辞書では、
【動】[u](行動、反応等での間の取り方やとっさの判断において)うまい、上手である、賢い、賢明である、利口である、分別がある、良識的である
というような訳語に変えることとしました。

لبق」:この語は、言葉のやりとりにおいて上手であるという意味だとのことでしたので、本辞書では、
【動】[u](会話、対話、交渉等言葉のやりとりにおいて穏やかに品良く進める上で)うまい、上手である、そつがない、気が利く、転機が利く、如才ない、手落ちがない、外交的である、人当たりがよい、洗練されている
というような訳語に変えることとしました。

これらの動詞の基本的意味は、「うまい」や「上手である」ということになり、そのうまさや上手さには若干の品位も含まれているとは思いますが、それら動詞の動名詞である「كياسة」や「لباقة」から「品位」の訳語を導き出すにはやや無理があるのではないかと思います。