多数表示名詞

絶版になっているので使っておられる方はほとんどいないと思いますが、日本語で書かれたアラビア語文法書である「アラビア語入門」(池田修著、岩波書店)の名詞の説明の箇所で、「多数表示名詞」というのがあり、「مفعلة」という形は、「あるものが多数ないしは豊富に存在することを示す名詞」であるとの説明があります。

そのような例として、
أسد」(ライオン)→「مأسدة」(多くのライオンがいる場所)
أفعى」(毒蛇)→「مفعاة」(多くの毒蛇がいる場所)
رمان」(ザクロ)→「مرمنة」(多くのザクロがなる場所)
等が挙げられています。

アラビア語を母国語とする人に確認したところ、腹を抱えて笑い出し、そのような単語は初めて見たとのことで、「多数表示名詞」というアラビア語文法は一蹴されました。

مدرسة」(学校)などは、「درس」(学習)が多い場所ということで、「学校」を意味すると考えられなくもありませんが、なんでもかんでもを「مفعلة」形にすることで、「多数が存在する場所」を表せるなどということは、現代アラビア語ではないということになります。