ヘリコプター

「ヘリコプター」のアラビア語訳の一つに「طائرة سمتية」という言い方があるようで、「سمتي」が何を意味するのかよく分からなかったため、久しぶりに再会したアラビア語の家庭教師をしてもらっているサウジ人の先生に尋ねてみました。

その先生によれば、まず、「طائرة سمتية」は、サッダーム・フセインが存命中にイラクで使われ出した用語で、最初は誰も何を意味するのか分からなかったとのことでした。
そして本日先生は、偶然にもイラク人歌手によるトークショーをテレビで見て、その中で歌手が「سمت」を動詞として何度も使っていたとのこと。初めは「سمت」が何を意味するのかさっぱり分からなかったが、話の筋から「お高い、偉そうにする、威張る」のような意味だと推測したとのことでした。

ということで、先生と一緒に辞書を調べてみたら、「سمت」には天文用語で、「道、線」を意味し、例えば、「سمت الشمس」は「黄道」(地球から見た太陽が地球の周りを一年をかけて一周して描く天球上の大円)であることを知りました。

先生によれば、そこから推測するに、「سمت」は動詞で、「天空へ上がる、高い位置から人を見下す」を意味し、イラクでは動詞として上記の「威張る」ような意味で使い、「طائرة سمتية」となると、天空へ舞い上がっていく飛行機と言うことでヘリコプターという意味で使われるのだろうということで落ち着きました。

先生によれば、同じアラブ人であっても所変われば、それがたとえジッダ近郊の他の市町村であっても、聞いても分からない単語や表現をよく耳にし、それが国や他の地域であれば尚更のことで、アラビア語の難しさの一つはこういうとこから来るのだろうとのことでしたが、アラビア語を母国語としない学習者によるアラビア語の理解というのは、更に至難の業のように思いました。