لدى

ある方から、「لدى」について質問を頂きました。

様々なアラビア語の前置詞の中で、「لدى」は文語的で格式と高級感がある前置詞と見受けられます。

手元にある文法書では、「Modern Written Arabic」(Routledge)に詳細な説明がありました。

意味としては主に
1.~で、~の元で、~の手元で、~のそばで
2.~に-がある、~は-を持っている
3.(時間的)~の時に、~の時点で、~の際に、~の折りに
となります。

1.については、特定国で駐在する大使などを表現する場合の「駐在する」という意味で使われます。
سفير البحرين لدى اليابان」であれば「駐日バーレーン大使」という意味になります。
この場合、「لدى」の代わりに「في」を使っても同じ意味ですが、「لدى」を使う方が格式が高い印象があります。

英語で言えば、「Bahraini Ambassador to Japan」の「to」が「لدى」に該当することになります。
英語では「to」の後には国名を持ってくるのが一般的ですが、「لدى」の後は国名でも首都名でも構いません。
سفير البحرين لدى طوكيو」と書くことが出来、
سفير البحرين لدى اليابان」と同じく「駐日バーレーン大使」の意味ですが、日本語では「在京バーレーン大使」とも言えるでしょうか。

また、「Modern Written Arabic」は、2.について、「لدى 具体的な物より、概念的・抽象的なもの」と結びつく場合が多いと記してあり、その例文として、
لديه الكثير من الهموم」(彼には多くの心配事がある)
لديه أسبابه」(彼にはいくつかの理由がある)
が挙げられていました。他方で、具体的な物の所有として、
لديه سيارة」(彼は車を持っている)
لدى اليمن ثلاثة مطارات رئيسية」(イエメンには3つの主要空港がある)
という表現も可能になります。