アラビア語の定冠詞(8)

アラビア語

「アラビア語の定冠詞(8)」(2012年3月)修正再版

「Simple Arabic」(Saqi Books)という英語で書かれた初心者向けアラビア語文法書に、定冠詞の用法についての説明が出てきます。その中に、「不可算で複数形を持たない物質名詞には定冠詞が付く」として、そのような物質名詞として、「حديد」、「ذهب」、「حليب」等の単語が挙げられており、例文として、「الذهب أغلى من النحاس 」(金は銅より高価である)が示されています。

しかしながら、上記例文では、定冠詞がないと文章にならないから定冠詞が付く訳で、物質名詞だからという理由ではないと思います。単に英語との比較に置いて、「金は銅より高価である」の英文は、「Gold is more expensive than copper」で、「gold」や「copper」には英語の定冠詞「the」は付かないが、アラビア語になると定冠詞が必要になるということの説明に思われます。
更には、「يوجد ذهب رخيص في السوق 」のように、物質名詞を非限定にすることが出来る文章も考えられるので、「不可算で複数形を持たない物質名詞には定冠詞が付く」という規則には難があるように思われます。
なお、定冠詞の話からは逸れますが、HANS WEHR等の辞書では「حديد」の複数形を「حدائد」としているようです。
しかし、ネットで調べる限り「حديد」には複数形はなく、「حديدة」の複数形が「حدائد」とする説が多いように思われます。「حديدة」は、「鉄の破片」や「鉄片」の意味の他に、鉄とは直接的に関係なく、「(身につける)金属の装飾品」の意味として使われることもあるようです。
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