「アラビア語の定冠詞(6)」(2012年3月)修正再版
今住んでいるジッダは、かつてはサウジアラビアの首都であり、聖地のメッカやマディーナへ巡礼に赴く前にまず到着する地であることからも、サウジアラビアの中で最も国際色豊かでリベラルかつスモポリタンな都市と言われています。
コスモポリタンの都市と言われるとおり、ジッダには中東、中央アジア、アフリカ等からの移民が多いのですが、移住者の氏名の最後に家名が書かれているので、それを見ればその人がどこの出身かが分かります。例えば、「شنبتري」であればトルコ・エジプト系、「ميمني」であればパキスタン系といった具合です。
さて、この家名がアラビア語の定冠詞と関係します。「アラビア語の定冠詞(5)」で、定冠詞の役割に「強調」があると書きましたが、移住者の若い世代は、家名に定冠詞を付ける傾向があるそうです。
定冠詞を付けることで家名を強調・強意させ、サウジの諸部族の中に埋もれてしまわないよう習知化・定着化させ、また、定冠詞付けにはプライドや連帯意識を示す役割もあるとのことです。
定冠詞を付けることで家名を強調・強意させ、サウジの諸部族の中に埋もれてしまわないよう習知化・定着化させ、また、定冠詞付けにはプライドや連帯意識を示す役割もあるとのことです。
バーレーンではカヌー(كانو)家、バーレーンを含む湾岸には、ファクルー(فخرو)家やカフターン(قحطان)家等がありますが、これらは昔から知られた名家であり、定冠詞を付けて誇示する必要などはなかったのでしょう。
※サウジアラビアでの家名に定冠詞が付く具体例があればよかったのですが、今となっては当時教わったことが思い出せません。「アラビア語の定冠詞(6)」の更なる補足については、今後の課題にしたいと思います。