アラビア語の定冠詞(3)

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「アラビア語の定冠詞(3)」(2012年2月)修正再版

「アラビア語の定冠詞(1)」と「アラビア語の定冠詞(2)」では、一般的な事象を述べる際の主語には、定冠詞が必要となることを説明しました。

その他に、アラビア語で定冠詞が付される場合として抽象名詞を挙げている文法書があります。抽象名詞とは、性質・状態・動作など無形のものや、抽象的な概念などを表す名詞のことで、例えば、親切、正直、勇気、健康、平和というような語が当てはまります。

英語で書かれたアラビア語の文法書の中には、(英語の抽象名詞には定冠詞が付かないこととの対比において)「アラビア語の抽象名詞には定冠詞が付く」を、アラビア語で定冠詞を付ける場合の規則の一つであると説明しているものがあります。例を挙げると、
(1)愛は盲目(Love is blind)
الحب أعمى
(2)必要は発明の母(Necessity is the mother of invention)
الحاجة أم الاختراع
があります。英語との比較を離れて、アラブの諺からは、
(3)醜さは女の番人
القبح حارس المرأة
等があります。

「AはBである」というアラビア語の文章では、主語のAでは、定冠詞を付ける等して限定扱いにしないと文書として成り立たないのはご存じの通りです。従って、一部の文法書が言う「抽象名詞には定冠詞を付ける」という規則は、英語との比較に置いて付ける必要があると言っているに過ぎなく、抽象名詞に限らず、「AはBである」というアラビア語の文章では、主語のAは限定にする必要があるということになります。

なお、「くわしいアラビア語」(内記良一著、大学書林)第12章において、「AはBである」という構文には、
・「限定+非限定」(上記の(1))
・「限定+限定」(上記(2)及び(3))
・「非限定+非限定」(例文として、「إنسان خير من بهيمة」等が挙げられている)
の3パターンがあると説明されています。
このうち「非限定+非限定」 のパターンは見たことがなく、そういう特殊パターンも希にあるのかもしれませんが、忘れてしまっていいと思います。
因みに、Googleアラビア語で「إنسان خير من بهيمة」を検索しましたが、この種の文章がヒットしなかったので、このような例文の提示自体に無理があるのではないかと思われました。

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