2021年2月アーカイブ

مكب النفايات

この表現は新聞等でよく見るので意味は理解していましたが、中級辞書に未登録であったので登録しておきました。
「廃棄物処分場」という意味です。

ここからが難しいのですが、まず、「مكب」は「リール」や「糸巻き」の意味があると一般的な辞書には書かれています。
しかし、「廃棄物の糸巻き」では理解できません。

そこで、アラビア語を母国語とする人に確認したところ、この意味での「مكب」は現在ではまず使われることはない語で、恐らく昔のベドウィンが糸を巻くために使っていたのではないかとのこと。
リールや糸巻きの意味では現在では「بكرة」が使われるのが一般的であるとのことでした。

では、「مكب النفيات」の「مكب」は何を意味するかということですが、それは「كب」という動詞が語根であり、「كب」にはいくつか意味があるが、その中で「صب」とほぼ同意の「(水を)注ぐ」という意味がある。
صب」がきちんと丁寧に注ぐのに対して「كب」は雑に注ぐという意味があり、そこから派生して、「(物を)雑に置く」という意味にもなる。それに場所を示す「م」を付けて、「雑に置く場所」という意味から、「ゴミや廃棄物を雑に捨てる場所」ということになるとの説明でした。

今回知り得たことは、なかなか興味深く、中級辞書に全て反映させておきたいと思います。

سلالة متحورة

13日にバーレーン当局から、「最近のバーレーンにおける感染急増の大半のケースは英国の変異株が拡散していることによるものであり、感染後の症状の発症が遅れがちな高齢者は特に注意を要する」との発表がありました。

「変異株」は、アラビア語では「سلالة متحورة」と訳されます。「سلالة متحورة من فيروس كورونا」と表記されることが多いようです。

なお、「تحور」(Ⅴ形の動詞・動名詞)は生物学や病理学の用語で「(突然)変異」を意味します。

いずれも未収録であったので、中級辞書に追加しておきました。


中級辞書Ver.5.96のアップロード

-アラビア語-日本語電子辞書データ更新報告-

辞書名:中級辞書Ver.5.96

登録語彙数:59,600語

辞書の説明:(Ver.5.94から)新規に200語の追加、約20語の既登録語の訂正の実施。

特記事項:
特になし。

野菜

「خضراوات」は野菜を意味しますが、「خضروات」と記されることもよく見られます。
実際のところ、Googleアラビア語で検索すると、後者の方がはるかにヒット率が高いので、後者の方が多用されていると想像されます。

ネット上でこの両者の綴りはどちらの方が正しいのかという議論が見られます。
それらまとめると、前者の「خضراوات」の綴りが正しく、その理由は「خضراوات」の単数形は「خضراء」で、「صحراء」や「سماء」と同様、アリフの後にハムザが来る場合の複数形は、それぞれ「صحراوات」やسماوات」となるのと同じことだと書かれています。

文法的には上記の通りですが、実際上は「خضروات」が多用されているのであれば、それも間違いではなく、結局「野菜」という意味ではどちらを使っても良さそうです。発音的には2回もアリフが出て来る「خضراوات」よりも1回の「خضروات」の方が言い易いので、そちらが多用される流れとなるのでしょう。

ところで、「خضار」も野菜として使われる語ですが、本辞書には「خضرة」とその複数形の「خضر」にも野菜の訳を入れています。気になったのでアラビア語を母国語とする人に確認したところ「خضرة」や「خضر」が野菜の意味で使われることはないとのことでした。

結論的には、野菜を意味するアラビア語は、「خضراوات」と「خضروات」と「خضار」の3つになります(そのうち文法的に正しいのは、「خضراوات」と「خضار」の2つ)。

استزرع

未収録語ですが、この語と「زرع」の違いをアラビア語を母国語とする人に確認してみました。

その答えは、「استزرع」は、最近特に水に関係する場合に使われるようになってきている語で、英語で言えば「aqua...」というのがぴったりする語であるとのことでしたので、「水産養殖」とか「水耕栽培」という訳語を入れておきたいと思います。

他方で「زرع」も勿論、植物栽培や農業のように水を必要としますが、水資源を利用した成果物を強調する場合に、「استزرع」が使われるようになってきているとのことです。