2017年12月アーカイブ

引越し業者

日本で発売されている「日本語-アラビア語辞典」が手元に2冊ありますが、いずれの辞典も「引っ越し業者」を「شركة للنقل والانتقال」のように訳してありますが、これはおかしいのではないかと思います。

انتقل」は「移転する」とか「引越しする」という自動詞ですから、
شركة للانتقال」であれば、その会社自体が移転することになってしまいます。

従って、引っ越し業者は、「شركة للنقل」とか、より正しくは、きちんと目的語を付けて、「شركة لنقل العفش」などとすべきです。

「日本通運」であれば、「شركة نيبون إكسبريس لنقل العفش والأثاث」と訳しておくのが無難でしょうか。更に、
وهي إحدى أكبر شركات البريد والخدمات اللوجيستية 」などを補足しておくと、より分かりやすいかもしれません。




偏差値

本辞書で日本語から「偏差値」を検索すると、いくつかヒットしますが、間違っている部分がありましたので、改めておきたいと思います。

例えば、「انحراف معياري」を「標準偏差値」と訳していますが、そのような用語は統計学にはなく、これは「標準偏差」という訳が正しいです。
また、「منحرف معياري」を「偏差値」と訳していますが、そもそもこのようなアラビア語表現はないようです。

「偏差値」の訳語としては、「علامة معيارية」が適当ではないかと思います。「علامة معيارية」は
 「يطلق عليها بعض الإحصائيون درجة معيارية وهي عبارة عن انحراف الدرجات عن متوسطاتها الحسابية مقدرة بوحدات الانحراف المعياري
と説明されているので、「偏差値」に該当すると思われます。

偏差値には、「学力偏差値」という偏差値の応用形があって、日本では大学や高校の偏差値の算定に使われているようですが、日本の大学のセンター試験に該当するアメリカのSATでも使われているようです。しかしながら、学力偏差値が使われるケースは世界的にほとんどないようで、そういう意味では日本は偏差値漬けの国であるように思います。

ついでながら、大学受験の年を迎えた子供がAO入試でSATの点数証明が必要な日本の大学を受験するために、SATを受けました。そうすると、取得した点数に基づいてアメリカのいくつかの大学から「うちの大学に来ないか」というお誘いのメールが来ていましたが、アメリカらしい発想だと思いました。

また、ついでながら、子供の受験と言うことで、やはり大学の偏差値を気にせざるを得なかったですが、今年発表された英国の教育専門誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが出した「THE世界大学ランキング 日本版2017」などというのは偏差値とは違った興味深い日本の大学のランキング付けだと思われました。

試験

前から気になっていたのですが、、「امتحان」と「اختبار」はいずれも「試験」や「テスト」の意味ですが、その違いは何かということです。
アラビア語を母国語とする人に聞いてみたところ、基本的に意味に違いはないが、「امتحان」の方がやや難しく、合格するのに困難や苦難を伴うとのことです。

従って、試験の中でも難しいであろう「大学入学試験」は
امتحان الدخول في الجامعة」と表記されることが圧倒的に多く、大学入試で「اختبار」を使うのは間違いではないですが、「Google 」で検索する限りでは希なように受け止められます。

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