2014年8月アーカイブ

آسى と واسى

同じような意味を持つ2つの動詞で、「واسى」は「آاسى」の変化形と位置付けらるようですが、両者には若干の意味の違いがあるようです。

واسى」は、訃報や悲報を知り、当事者やその親族等に電話や書簡等で直接連絡して、哀悼(遺憾)の意を伝えることを意味します。死去に対し「お悔やみを伝える」と訳すのがぴったり来るようです。

他方で、「آاسى」は、訃報や悲報を知り、当事者やその親族等に哀悼の意(遺憾)を伝えるのではなく、その訃報について自分自身が悲しく感じたり、周囲の人に「~さんが亡くなったのは残念でした」と述べる場合に使われる動詞だとのことです。

若干の例文と共に、中級辞書へ登録しておきます。


حتى إذا

時々、語彙というより、重要な文法事項の未収録に気づき、はっとすることがあります。

حتى إذا」或いは「حتى إذا ما」という構文が見られますが、これらは2つの解釈が可能です。

ひとつは、英語の「even if 」で、「たとえ~でも」という条件文を構成。

もう一つは、「إذا」が条件ではなく時を表す接続詞で、それに「حتى」が付くと解釈して、「~する(時)までは」という意味です。

後者の用法が登録されていませんでしたので、登録しておきました。

اختلاطات

Ⅷ形動名詞の「اختلاط」は、基本的には「混ぜること、混在」の意味があり、そこから転じて「社交、おつきあい」のような意味もありますが、この社交は、男女や様々な階層の人による「社交」を意味するらしく、サウジアラビアのように男女の社交に制約のある国では、「社交」の意味では使われないようです。

さて、「اختلاط」には当然複数形があるのだろうと、Google Arabic で調べてみると、複数形「اختلاطات」は意外な意味で使われていることが分かりました。
その意味は、医学用語のようで、特に手術後の「不具合、不調、後遺症」を指すようです。

念のため、アラビア語を母国語とする人に尋ねてみたところ、そのような意味で使われていることを初めて知ったとの反応でした。

新語なのか特定の国(地域)では一般的に使われているのかはっきりしませんが、辞書に新規登録しておきます。

داء المبيضات

先日、「含歯性嚢胞」の話を書きましたが、その登録の機会に、一般的によく耳にする病名を辞書に追加登録しました。

その中に「داء المبيضات」という病名があり、中級辞書の範疇だろうとの判断で登録したのですが、こういう時に、「مبيضات」の母音符号を知るのに、苦労させられました。

中級辞書の最新バージョンに登録してありますので、どう発音するのかはそちらから確認して下さい。意味は、「カンジダ症」です。

بيض」を見ると、「卵」系か「白」系かと色々と考えてしまいますが、「مبيضات」は、白くなるという「بيض」のⅨ形能動分子の名詞化の複数形ということのようです。

中級レベル以上のアラビア語関連書籍

先般日本へ戻っていた際に、ジュンク堂三宮店の他、大阪の梅田にある大きな書店で、日本語で書かれた中級レベル以上のアラビア語関連書籍を調べたところ、新規書籍は発刊されていなかったように思います。

中級レベル以上のアラビア語関連書籍のお勧めは、


でお知らせしたところが、現状ではないかと思います。

ヘリコプター

「ヘリコプター」のアラビア語訳の一つに「طائرة سمتية」という言い方があるようで、「سمتي」が何を意味するのかよく分からなかったため、久しぶりに再会したアラビア語の家庭教師をしてもらっているサウジ人の先生に尋ねてみました。

その先生によれば、まず、「طائرة سمتية」は、サッダーム・フセインが存命中にイラクで使われ出した用語で、最初は誰も何を意味するのか分からなかったとのことでした。
そして本日先生は、偶然にもイラク人歌手によるトークショーをテレビで見て、その中で歌手が「سمت」を動詞として何度も使っていたとのこと。初めは「سمت」が何を意味するのかさっぱり分からなかったが、話の筋から「お高い、偉そうにする、威張る」のような意味だと推測したとのことでした。

ということで、先生と一緒に辞書を調べてみたら、「سمت」には天文用語で、「道、線」を意味し、例えば、「سمت الشمس」は「黄道」(地球から見た太陽が地球の周りを一年をかけて一周して描く天球上の大円)であることを知りました。

先生によれば、そこから推測するに、「سمت」は動詞で、「天空へ上がる、高い位置から人を見下す」を意味し、イラクでは動詞として上記の「威張る」ような意味で使い、「طائرة سمتية」となると、天空へ舞い上がっていく飛行機と言うことでヘリコプターという意味で使われるのだろうということで落ち着きました。

先生によれば、同じアラブ人であっても所変われば、それがたとえジッダ近郊の他の市町村であっても、聞いても分からない単語や表現をよく耳にし、それが国や他の地域であれば尚更のことで、アラビア語の難しさの一つはこういうとこから来るのだろうとのことでしたが、アラビア語を母国語としない学習者によるアラビア語の理解というのは、更に至難の業のように思いました。

中級辞書Ver.4.60のアップロード

- アラビア語-日本語電子辞書データ 更新報告 -

辞書名:中級辞書Ver.4.60

収録語彙数:46,000語

辞書の説明:(Ver.4.58から)新規に200語の追加、約70語の既存入力語の訂正の実施。

特記事項:この機会に、スマートフォン向け日本語-アラビア語辞書データも更新(収録語数:77,007語)

كيسة حاوية على السن

夏期及び健康管理のための休暇で日本へ戻っていました。

さて、今回は、タイトルの病名の治療のため日本で短期間入院していました。

日本語では「含歯性嚢胞」と言います。せっかくですから、この病名、辞書に登録しておきます。

嚢胞摘出手術を受け、その後三週間近く痛みが続いたのでロキソニンをずっと飲んでいました。
なんとも鬱陶しく、晴れ晴れとしない休暇となりました。

休暇を終えサウジへ戻りましたが、今も術後の違和感が残っています。

このような次第で辞書の編集を中断していましたが、そろそろ再開したいと思っています。