遺産

「遺産」を意味するアラビア語の単語として「تركة」、「تراث」、「إرث」、「ميرات」などがありますが、現在の中級辞書で誤った説明がなされているので、訂正方々、以下の通りまとめ直します。

親族内の誰かが死んで遺産相続をする場合の「遺産」には、「ميراث」或いは「تركة」が使われます。
なお、「تركة」については正則語ではなくエジプト方言ではないかという指摘もありました。すなわち、地域(国)色が強く、正則語としての使用には適さないのではないかとの意見です。しかし、「ورث تركة」(遺産を相続する)などでGoogle検索すると多数ヒットするので、「تركة」を正則語として使うことはあまり問題ない(一般的に通じる)と思われます。

次に、文化、制度等の一般的な遺産、伝承物、財などは「
تراث」が使われるようです。

إرث」は、基本的には「تراث」と同じですが、文化的な、時に個人的な遺産を意味する他、個人的な遺産の場合には、影響力、業績のような意味にも取れそうだとのことです。

例えば、(故エジプト)ナーセル大統領が残した遺産(影響力、置き土産)と言う場合には、「إرث عبد الناصر」と表現し、「تراث」は使えないようです。

なお、日本語でよく聞かれる「負の遺産」という表現としては、「موروثات سلبية」などが適切ではないかとのことです。

「遺産」関連単語の修正とよく使われる関連フレーズの登録を、中級辞書の次期バージョンで行っておきます。