2014年6月アーカイブ

Androidにおける単語検索アプリ

 自作のアラビア語-日本語電子辞書は、基本的にはWindows上のPDICで利用しています。所持するiPad miniではpdicoという単語検索アプリから利用出来る状況にはしてありますが、ほとんど利用することはありません。それは、きっとiPad mini がサイズ的には辞書の利用には向いていないからではないかという気がしています。

 今回購入したソニーのスマホ Xperia Z2 すなわち、Android 上で、アラビア語-日本語電子辞書が使えるアプリを調べてみました。くまなく調べてはいないので、PDIC形式の辞書に対応する単語検索アプリは他にもあるのかもしれませんが、現状は「EB Pocket」と「aDice」の2つではないかと思います。

 「EB Pocket」については、ここでちょっと触れたことがあります。

http://www.arabic-japanese.com/blogs/arabicjapanese/2012/11/ipad-mini.html

PDICの<→ >形式のジャンプ機能がないのが残念ですが、「aDice」よりは高機能です。iOS版もあるのはご存じの通りです。

次に「aDice」については、作りはシンプルかもしれませんが、機能としては欠かせないと個人的に思うジャンプ機能を備えてくれているので、「aDice」にアラビア語-日本語電子辞書データや英辞郎のデータを入れて使ってみました。シンプル性もあってか、使い勝手がよく気に入っています。

現在のところ、Android (というよりか日本語入力システムが標準装備されていない中東向けのXperia Z2 )でアラビア語-日本語電子辞書を利用するには、
・アプリは「aDice」
・言語入力システムは「dodol Keyboard」(+「Google音声入力」)
が適当ではないかと思われます。

中東向けの Xperia Z2 に日本語入力システムが標準装備されていないのに驚いたことから始まった今回の Android 関連の話は、この辺でお開きとしたいと思います。
各種辞書がてんこ盛りのカシオの電子辞書「EX-word」を持っていますが、動作にもっさり感があって、ついつい使うのを敬遠してしまっている中で、Xperia Z2 は電子辞書代わりになる程よいサイズと重さ(軽量)、そして動作も機敏なので、必要な辞書を Xperia Z2 へ集約し、スマホの辞書化を一気に進めてしまうことになりそうです。

Androidの多言語(音声)入力システム

前回のブログで、サウジアラビアで購入したソニーのスマートフォンであるXperia Z2 の多言語入力環境構築につき書きましたが、本件につき追記しておきます。

多言語入力環境をもう少し調べてみた結果、更にいくつかの多言語(含アラビア語、日本語)入力システムがあることが分かりました。それらは前回記したものも含め、
「GO Keyboard」、「dodol Keyboard」、「MultiLing」、「TS Keyboard」などです。
なお、「Google キーボード」というアラビア語も含む多言語入力システムもあるらしいですが、いわゆるCJK(中日韓)言語については、Googleは個別にIMEを出しているので、「Google キーボード」の統合システムからは除外されているようです。

これらの多言語入力システムを検証したところ、アラビア語入力については、アラビア語キーボードの配列等の違いがあるとは言え、大差ないと感じました。

次に、日本語入力ですが、上記多言語入力システムの中では、「dodol Keyboard」の辞書が充実しており、使い勝手が良いと感じました。勿論、「ATOK」などとは比べものにはなりませんが。

ということで、多言語入力システムのお勧めは、「dodol Keyboard」になりますが、ここで更に日本語入力について付言しておきますと、(Androidスマホでは標準装備されていると思われますが、)Xperia Z2 にも装備されている「Google音声入力」の精度には実に驚きました。日本語については、「Google音声入力」は実に快適で、音声が間違って入力されることがほとんどなく、Xperia Z2 での短文の日本語入力はこれで決まりと言っても過言ではないように思います。

「Google音声入力」は日本語も含めかなりの数の言語がカバーされており、アラビア語も選択できます(それも方言を想定してか10カ国のアラビア語に対応)。「Google音声入力」を利用して、若干のアラビア語入力を試してみましたが、今のところ、精度はまずまずのようです。というよりは、ネーティブではない自分の発音が悪いだけかもしれず、発想を変えれば、発音訓練・矯正用ツールとしても大いに活用できるのではないかと思いました。
なお、アップル系のスマホやタブレットにも「Siri」という音声入力システムが装備されていますが、日本語音声入力においてはいちいち入力した後にボタンを押さないといけないのでややもたもた感がある他、そもそもアラビア語には対応していません。この分野では、Android の方が進んでいる印象を受けました。

なお、「dodol Keyboard」等の多言語入力システムには、音声入力用ボタンが装備されており、これを押すことにより、即座に「Google音声入力」を呼び出せ、また、音声入力言語の切り替えも簡単に出来ます。

前回のブログの内容に戻ると、ソニーのXperia Z2 に日本語入力システムが装備されていれば、音声入力を試してみようとは思わなかったかもしれず、日本語入力が出来ないことで、逆に今回、大変勉強になりました。

辞書の編集に専念していると、音声入力と言った最近の革新的な動きに疎くなります。
私が知らなかっただけで、上記のような事情は当たり前の世の中になっているということなのでしょうか?

Xperia Z2 (ソニー製スマホ)の多言語環境

Android を知りたいこともあって、また、日本人の腹心の友もサウジで手に入れたと聞き、日本でも人気の高いソニーのスマートフォンであるXperia Z2 を先週買いました。

自分の場合には、日本語、アラビア語、英語が使えることが必須であり、そういう多言語環境は当然Android スマホで簡単にできるのだと思っていたのですが、触ってみてびっくり!

なんと、中東向けのXperia Z2 では、日本語入力システムが標準装備されていません。ソニーのスマホの多言語の入力システムは、ソニーが自社製を提供しているようですが、中東向けのこのスマホには、アルバニア語、アゼルバイジャン語、グルジア語、ラトビア語等のどちらかというとマイナー言語は多々選択できるのに日本語(中国語、韓国語も)が標準装備されていません。

勿論このような場合、「Google日本語入力」のような日本語に特化したIMEをインストールすれば、日本語の入力は出来る訳ですが、 そうすると、スマホ上で、日本語とアラビア語が混在する文章を作成する場合、「ソニーの自社製多言語入力システム」と「Google日本語入力」の間を行き来せざるを得ず、言語の切り替えが極めて面倒くさいと言うことになります。すなわち、このような環境では、多言語入力の点でこのスマホは使い物にはなりません。

現地ソニーのお客様サービスに問い合わせたところ、「ソニーの中東向けスマホにはいくつかの国の言語が標準装備されない仕様になっており、サードパーティーが提供するIMEをダウンローとして使って欲しい。ご不便かけて、すんません!」とのこと。

言語が混在する文章を大量にスマホで作ることはないとは言え、これではやっぱり不便で困ったなと、ネットであれこれ検索した結果、多言語入力システム(単体の言語ではなく数十の言語入力を含む)はサードパーティーが提供しており、それらには例えば「GO Keyboard」とか「dodol Keyboard」があることが分かりました。

上記の多言語入力システムをインストールしてみたところ、ボタン一つ押すだけでアラビア語と日本語の切り替えが出来ることとなり、(日本語入力の精度等はさておき)一件落着となりました。

それにしても、ソニーは日本の会社であり、また、中東には日本語を勉強しているアラブ人は結構いるとも思われ、正直のところ、ソニー製多言語システムから日本語を除外する発想がよく理解できません。

その点では、アップルの方が全製品に統一的な多言語環境を提供しているので、購入時からおろおろするということはなさそうです。

なお、日本で販売されるXperia Z2 では日本語(当たり前)もアラビア語も標準装備されているとのことです。

以上、Android の事情に無知で、様々な多言語入力システムが提供されていることを知らなかっただけの話ですが、日本人、外人共に海外で購入したXperia に日本語入力が提供されていないことに困惑している話をいくつかネットで見かけましたので、解決策の記録として残しておくことにしました。

中級辞書Ver.4.58のアップロード

- アラビア語-日本語電子辞書データ 更新報告 -

辞書名:中級辞書Ver.4.58

収録語彙数:45,800語

辞書の説明:(Ver.4.56から)新規に200語の追加、約40語の既存入力語の訂正の実施。

特記事項:なし

遺産

「遺産」を意味するアラビア語の単語として「تركة」、「تراث」、「إرث」、「ميرات」などがありますが、現在の中級辞書で誤った説明がなされているので、訂正方々、以下の通りまとめ直します。

親族内の誰かが死んで遺産相続をする場合の「遺産」には、「ميراث」或いは「تركة」が使われます。
なお、「تركة」については正則語ではなくエジプト方言ではないかという指摘もありました。すなわち、地域(国)色が強く、正則語としての使用には適さないのではないかとの意見です。しかし、「ورث تركة」(遺産を相続する)などでGoogle検索すると多数ヒットするので、「تركة」を正則語として使うことはあまり問題ない(一般的に通じる)と思われます。

次に、文化、制度等の一般的な遺産、伝承物、財などは「
تراث」が使われるようです。

إرث」は、基本的には「تراث」と同じですが、文化的な、時に個人的な遺産を意味する他、個人的な遺産の場合には、影響力、業績のような意味にも取れそうだとのことです。

例えば、(故エジプト)ナーセル大統領が残した遺産(影響力、置き土産)と言う場合には、「إرث عبد الناصر」と表現し、「تراث」は使えないようです。

なお、日本語でよく聞かれる「負の遺産」という表現としては、「موروثات سلبية」などが適切ではないかとのことです。

「遺産」関連単語の修正とよく使われる関連フレーズの登録を、中級辞書の次期バージョンで行っておきます。

中立

HANS WEHRを含む一部辞書に、「中立の」という形容詞として、「حائد」が登録されており、例えば、「中立国」は「دولة حائدة 」と表現できると信じていたのですが、「حائد」にはそのような意味はないと聞かされ、唖然としました。

ということで、HANS WEHRに登録されている「中立」関連の単語の検証結果を下記に示しておきます。
中級辞書の次期バージョンで、「中立」関連語をすべて修正しておきます。

حياد」:「中立」という意味の名詞。

حيادي」:「中立の」という意味の形容詞であるが、行為・行動を形容するのが一般的。

حيادية」:「中立主義」「中立性」という意味の名詞。

محايدة」:「中立」という意味で使われることはない(存在しない)。

حائد」:「中立の」という意味の形容詞として使われることはない。動詞「حاد」(道を逸脱する)の形容詞として使うことは可能。

محايد」:「中立の」という意味の形容詞であるが、国家、状態等を形容するのが一般的。化学、電子、物理の分野で(電荷のない、磁気を帯びていない等)「中性の」という意味もある。

متحايد」:「中立の」という形容詞の意味はなく、また、使われることもない単語。

なお、「中立」関連で、「حايد」(Ⅲ形)や「تحايد」(Ⅵ形)の動詞は存在しないとのこと。

さて、少し話が飛びますが、これらの単語を調べていると、 「محايد」と「متعادل」はどう違うのかが分からなくなってきました。
例えば、中性洗剤は、「منظف متعادل」、中性塩は「ملح محايد」、中性脂肪は「دهن متعادل」、中性油は「زيت محايد」と表現されるようですが、 「محايد」と「متعادل」の使い分けの基準がよく分かりません。
判明すればお知らせしたいと思いますが、あまり化学的に専門化してくると、上級辞書の範疇になるので、しばらくはお預けになるかもしれません。

 

中級辞書Ver.4.56のアップロード

- アラビア語-日本語電子辞書データ 更新報告 -

辞書名:中級辞書Ver.4.56

収録語彙数:45,600語

辞書の説明:(Ver.4.54から)新規に200語の追加、約100語の既存入力語の訂正の実施。

特記事項:なし