アラビア語の定冠詞(6)

 今住んでいるジッダは、かつてはサウジアラビアの首都であり、聖地マッカやマディーナへ巡礼に赴く前にまず到着する地であることからも、サウジアラビアの中で最も国際色豊かでリベラルかつスモポリタンな都市と言われています。
 コスモポリタンと言われるとおり、ジッダには中東、中央アジア、アフリカ等からの移民が多いのですが、移住者の氏名の最後に家名が書かれているので、それを見ればその人がどこの出身かが分かります。例えば、「شنبتري」であればトルコ・エジプト系、「ميمني」であればパキスタン系といった具合です。

 さて、この家名がアラビア語の定冠詞と関係してきます。
 「アラビア語の定冠詞(5)」で、定冠詞の役割に「強調」があると書きましたが、移住者の若い世代は、この家名に定冠詞を付ける傾向があるそうです。それは、サウジの諸部族の中に埋もれてしまわないよう家名を「強調」するためであり、それには、「プライドと連帯」意識も含まれるであろうとのことです。