2001年8月アーカイブ

避ける

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前に、「避ける、回避する」という意味の تلافيや تجنب という動詞に触れましたが、同様の意味を持つ動詞をもう2つ(تفادى , تحاشى )取り上げて、意味の違いを考えてみます。いずれも一義的には「避ける、回避する」という意味となりますが、ニュアンスに違いがあるようです。

1.تجنب-この語は、それまでの経験を生かしてあることを回避し、その回避した状態が元には戻らないということを意味します。回避する対象、すなわち目的語には物と人を持ってくることが出来ます。ابتعد عن という語とほぼ同様の意味になります。
.تجنب السير في الظلام
(以前に暗闇で幽霊が出て怖かったので、)彼は暗闇を歩くのを避けた。

2.تلافي -この語は、回避しないまま放っておくと間違いが起きたり大変な事態に至るという認識の下で、現状を正すことにより何かを回避する場合に用います。目的語は物だけです。
.تلافى وقوع التلفزيون من الرف
(テレビが傾いて落ちそうなので、)彼は棚からテレビが落ちないようにした。

3. تفادى-この語は、何かを犠牲にして物事を回避したり、予防的措置や防衛的手段として何かを回避する場合に使います。目的語は人と物。اتقى と同意語。
تفادى المجرم خوفا من تصرفه
彼はその犯罪人の行動を恐れて近寄らなかった。

4. تحاشى-この語は、通常人を目的語とし、その人物に会うと形勢が不利になったり、面倒な問題が起きるのが嫌なために当面避ける場合に用いられます。語根からも分かる通り、嫌なことを端へ追いやって避けるというニュアンスですが、一時的に回避するにせよ、回避前の状態に再び戻ってしまう可能性があるとの意味合いを持ちます。
.خرج من البيت سرا ليتحاشى زوجته
(口うるさい妻が帰って来たけど、)彼は妻に会いたくなかったので、家からこっそりと抜け出た。
.تحاشى وقوع خلاف بينه وبين أخيه
彼は兄との間の対立を一時的に避けた。

以上、若干説明不足があるかもしれません。もう少し分かりやすい説明が出来るようになれば、補足説明を加えたいと思います。

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